研究・社会活動
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研究活動
最近の動き
「大学教育へのコーチングの導入」 −NHKの放送に寄せて−
保健学部臨床内科学(1)教室 教授 柳澤厚生
学生にコーチングを行う 救急訓練の演習
私は平成12年から杏林大学大学院で「医療の分野におけるコーチング・コミュニケーション」を講義しています。
すでにハーバード大学を始め米英の大学では「コーチング」の講座がありますが、日本では杏林大学の私の講義が日本最初でした。
それが今や「コーチング」は文系大学やビジネススクールなどでは人気講座になっていますし、書店ではコーチングに関する書籍が並んでいます。
私はコーチングが日本に導入される初期から関わり、世界コーチ連盟の下部機関として非営利特定(NPO)法人日本コーチ協会が設立されたときは初代の会長として日本におけるコーチングの普及に努めました。

さて、コーチというとテニス、ゴルフなど一流のスポーツ選手についている「コーチ」が思い浮かびます。
1980年代にアメリカのビジネス界では経営者やマネージャにつく「コーチ」が生まれました。1990年に入るとアメリカのビジネス界に爆発的に「コーチング」が広まったのです。 IBMを始めとする一流企業がコーチを重役や マネージャクラスにつけて業績を上げるようになりました。
1990年代後半に「コーチング」は日本のビジネス界にも注目されるようになり、ビジネスや個人の人生設計についてコーチングするプロのコーチを育成する会社が生まれています。

コーチングとは「相手の自発的な行動を促すコミュニケーションの技術」です。 多くの場合、目標を達成したり、障害を打開するための答えや能力は、その人自身が持っています。
コーチングでは質問や提案、承認などの様々なスキルによって相手の考えや能力、知識などを引き出し、目標を達成するための最善の方策について考え、確実に行動が起こせるようにサポートをしていきます。
私はコーチングが日本のビジネス界に紹介された当初より、この技術が医療や教育分野に活用できると考えていました。
すでに欧米では医療・教育分野にコーチングの導入が行われていました。 大学院では日本で活躍中の一流ビジネスコーチを招いて学生にロールプレイを混ぜた双方向講義を行っています。
また、昨年からは保健学部救命士課程の学生達に個人面談で人生設計や就職に 関するコーチングを行い、学生のモチベーションの向上に成果を挙げています。 また、救命士課程の学生にコーチング技術やリーダーシップトレーニングをロ ールプレイ中心の授業で習得させ、社会人になったときに活用できるようにし ています。
これも日本の大学では初めての試みです。
結果として学生の自発性が高くなり、救急訓練の演習でもチームワークが向上したと好評です。

救急訓練の演習
 
この試みが7月10日夕方の「NHK首都圏ネットワーク」でも取り上げら れました。
現代の「マニュアル化している」学生が「自分で考えて行動する」学生に変 わっていく姿が紹介されました。

コーチングは医療分野に有用なツールであり、医学部付属病院看護部で もコーチングの講習会を開催し、好評でした。

11月には看護分野におけるコーチングの先駆者である米国ミネソタ大学看護学部ジュディ・ジョンソン教授を杏林大学に招聘し、ますますの普及に努めます。
今やコーチングの分野で杏林大学は日本の最先端を歩んでいます。

今年から、新たに私の音頭取りで多くのコーチの方々の支援を得て、都内の公立小学校に教師・生徒・親まで巻き込んたコーチング・プラットホームを創造し、不登校 やいじめのない学校をつくるボランティア運動を推進しています。
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