中竹 俊彦

リンパ球を追う(シリーズ000CD-ROM教材 その(1) 正常リンパ球(末梢血リンパ球)

リンパ球の世界(概観)

その(1) 正常リンパ球(末梢血リンパ球)

                        杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

CD-ROM画像1の「解説」 正常リンパ球(末梢血リンパ球)

 末梢血リンパ球の基本形態は、細胞の長径と短径の平均直径が12μm、核のそれは10μm。

 普通染色における細胞質は淡く明るい青色(空色: sky blue )で、塩基好性です。塩基好性の理由は細胞質に均等にリボソームを少量含むことによります。

 一般に顆粒はなく、顆粒を含むリンパ球には別名「顆粒リンパ球;large granular lymphocyte 」の名があり、NKリンパ球と NKT リンパ球があります。大リンパ球=large lymphocyteに顆粒があるという意味です。

 核を構成するクロマチンは粗大なクロマチン塊を示すことから、静止期(または休止期)の核の状態にあると解釈されます。

 健常人の末梢血にはこの他にも微妙に異なる形態の多様な状態にあるリンパ球があり、いずれも再循環、活性化などのいきさつ(経緯)で表現されてくるリンパ球の移行像(活性化とその後の抑制像)の範囲の形態(いわゆる、反応性の範囲)と解釈できます。

CD-ROM画像1の「詳細解説 1.リンパ球の基本形態と細胞質」

 末梢血リンパ球の形態の基本形態は、細胞の長径と短径の平均直径が 12 μm、核では 10μmとみられます。

 画像のリンパ球のように赤血球に誘引されて変形して接している場合、細胞質の隙間は細胞自体の変形と核の変形が影響して、隙間の幅がゼロから2μm の範囲で変化します。したがって、平均的な幅は算出してもあまり意味がなく、2μm 以内ということになります(青色矢印の間)。

CD-ROM画像1の「詳細解説 2.リンパ球の核の基本形と変形

 リンパ球の核の基本形は新生児末梢血標本で見る限り、核の平均直径が10μm で、核の形それ自体はアサリ貝やシジミ貝など、二枚貝の貝殻の形に最も似ているように思います。

 この画像では、リンパ球の左側および、右上にある赤血球に細胞質と一緒に核自体も誘引されて、2つの方向へ少し伸びて変形が認められます(赤色矢印)。その変形分だけ細胞質は5時方向へ間隙(マージン: margin )では広がりを生じているとみられます(紫色矢印)。

 以上の様に、リンパ球への考え方、顕微鏡的な観察の手順、観察のポイント、観察内容の表現、解析と表現法などについては拙著「テキスト(第2巻)−リンパ球を追う−」を御参照いただくと、多様性の文章表現についての対応が御理解いただけるものと思います。

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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