中竹 俊彦
リンパ球を追う(シリーズ200)リンパ球の世界(II)‐リンパ球の本質に迫る‐2−4.新生リンパ球(それは、血中にはあるか?)
リンパ球の世界(II)
‐リンパ球の本質に迫る‐
2−4.新生リンパ球(それは、血中にはあるか?)
杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦
新生リンパ球が血中にあるとすれば、それらはどこから来たのか、また、その行方(どこへ行くのか)が私たちは気になるはずです。リンパ球が最もよく細胞分裂してその数を増やしているのは、教科書にも記述されているように、まさしく「胸腺」と「全身のリンパ組織(扁桃、脾その他も含む)」です。
骨髄でも全能造血幹細胞からリンパ系への分化は起きていると考えておかなければなりません。しかし、それぞれの組織で細胞分裂像は意外に少ないのです。
リンパ組織内で多くのリンパ球は、かなり長いことそこで経過していることは想像できますが、ほとんど「新生」の扱いを受けられず、アポト−シスという処分、または「核にプログラムされた死」によって、消滅していると考えなければなりません。
「リンパ球として新生する約束」が許容された10 %未満のリンパ球(胸腺では1%)が「それぞれの特性」の賦与と、その後の活動への「認証」を獲得して、初めて「新生リンパ球」となります。
そしてリンパ組織内の血管から直接、あるいはリンパ管経由で血球群の一員となって血中へ登場します。したがって、血中には新生リンパ球と再循環リンパ球とがあります。それら2つは新生・再循環という、対語の関係にあるとも言えます。
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体裁
B5版(本文 305頁)
目次(序論・1〜24まで9頁)
索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)
(頒布いたします)
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