リンパ球を追う(シリーズ300-A)

リンパ球の世界(III‐A)

 A. リンパ球とはどういう細胞か

1.リンパ球機能の活性化と数の増・減

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 リンパ球の機能の活性化には、(そのリンパ球において)細胞分裂を伴わないことが多いと推定されます。

 ところが、(生体への)刺激の種類(例えば、強い抗原刺激など)によっては、リンパ節で細胞分裂します。いったん成熟したリンパ球(いわゆる、成熟リンパ球)が細胞分裂で増加する場面は、主にリンパ節で行われ、抗原による刺激がきっかけになります。

 一方、リンパ球側の反応が、数の減少となって表現されるときもあります。

 それは刺激に対処できないリンパ球が交替して(ウイルス感染のごく初期の段階など)、新生リンパ球にバトンタッチする直前のできごとだろうと推定されます。

 ウイルス感染の初期変化としてのリンパ球減少は、現実にはあるものです。ところが、潜伏期を経過して受診後の臨床検査では、時間が経過したこともあってリンパ球絶対数の減少を指摘されることがむしろ少なくて、一般的にはウイルス感染症になって発症し受診したたところからリンパ球絶対数の増加異型リンパ球の出現などが指摘されるでしょう。

 ウイルス(風疹、麻疹)、クラミジア(オーム病)などの感染症でも比較的長期間にわたって、リンパ球絶対数が減少している例もあります(リンパ球絶対数が1,500ときには1,000など、リンパ球減少症の域に入っています)。

 末梢血リンパ球の反応性変化が数の増・減となって表現されたとき、増・減の実態は「絶対数の変化」でみることが大切です。

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

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