リンパ球を追う(シリーズ300-A)

リンパ球の世界(III‐A)

 A. リンパ球とはどういう細胞か

2.リンパ球の行動と形態

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 リンパ球所見に限らず、私たちが個々の白血球類の変化をみて、生体の状態、反応を推定したりして病的状態(病態)を知るには、一般には白血球の絶対数と同時に、白血球の機能がそれ以上に重要です。ところが、周知のように末梢血リンパ球の検査報告は、情報が白血球数とヘモグラムに集約され、極めて単純化されています。まれには、異型リンパ球の数値(%)が記入される程度でしょう。

 リンパ球群は生体の感染防御、細胞性免疫(学)的な防御機構において、好中球や単球の反応性変化と密接に連動しています。リンパ球は、その産生母地である胸腺とリンパ節、さらには脾臓、リンパ管および血管の反応を背景にして、複雑な行動をみせるはずです。

 リンパ球は性質からみると、種類や機能が好中球と異なり、単純ではないのです。リンパ球の機能と行動は、好中球や単球とは著しく異なり、リンパ球サブクラスに機能が分担されていること、血中に流入する新生リンパ球の他に再循環してくるもの(再循環リンパ球)があること、それらの総和が末梢血リンパ球数として反映されます。

 再循環に際しては、形態が新生リンパ球とは異なっているとみなければなりません。なぜなら、リンパ節を経由した段階では新たな機能的活性化を与えられてきたはずだからです。リンパ球は個別の機能が活性化されたことによって、行動能力(動態)と形態が違ってきます。新生リンパ球のときと刺激を受けたリンパ球とは、何かが異なっていなければ能力を発揮しようがないでしょう。

 では、リンパ球のどこが、どのように変化しているとみるべきでしょうか?

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

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