中竹俊彦 III-B.リンパ球をどうみるか(2007)-10.リンパ球の多様性を見抜く方法と能力

リンパ球の世界(III‐B)

 B.リンパ球をどうみるか

10.リンパ球の多様性を見抜く方法と能力

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

 リンパ球の反応性変化およびその形態変化を言葉で表現するのは、どんな意義があるのか少し考えてみましょう。私たちが血液検査報告で分類結果を数値(%)で、形態の多様性を言葉に翻訳する目的は、形態変化の中から意味を見抜き、その意味を引き出して状況説明や具体的な情報にして、相手に伝えたいからです。その多様性を見抜く方法と能力を具体的な例で示します。

 塗抹標本上でリンパ球の大きさを表現するとき、大まかには好中球と赤血球を基準にして中リンパ球、小リンパ球を比べています。しかし、大球性貧血で赤血球は大型化し、小球性や球状赤血球では直径は小さくなります。過分葉好中球は16μmに、萎縮した好中球は14μm以下12μmまで小型化しますから、これらの背景があるときは大きさの基準になりません。

 したがって、正確には実測してリンパ球の細胞直径で示します。そのためには、私たちは日常的に接眼ミクロメータを使えないと実測することができません。情報の受け手もミクロメータを付けたディスカッション顕微鏡下でならば大きさを認識できます。

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

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