中竹俊彦 III-B.リンパ球をどうみるか(2007)-11.リンパ球の計量的な諸問題(細胞直径の大型化という量的変化)-1)リンパ球絶対数とサイズ

リンパ球の世界(3‐B)

 B.リンパ球をどうみるか

11.リンパ球の計量的な諸問題(細胞直径の大型化という量的変化)

                          杏林大学 保健学部 臨床血液学 中竹 俊彦

11-1)リンパ球絶対数とサイズ

 計量的な問題はまず、リンパ球絶対数です。

 次の量的な問題は胞直径(サイズ)の大型化です。さらに、塩基好性の増強の問題点へと移行することになり、顕微鏡では計量化が困難になります。

 リンパ球の大型化は、それ自体(そのまま直接的に)活性化の第1の所見です。リンパ球が小型化し、絶対数が減少する時点から問題は始まっていますが、それはさておきます。 

 末梢血リンパ球の増減を知るには、白血球数と百分率から必ず絶対数換算して容易に評価できます。

 さてそこで第1の問題点として、観察したリンパ球の直径が15〜16μmのものが多いとき、その意味はどういうことでしょうか。

(1)リンパ球としてそれらは大きいのかどうか?

(2)リンパ球が大きいという意味ならば、大きさの表現で何を情報として伝えられるのか?

(3)リンパ球百分率、絶対数換算ともに多いのはどんな意味があるのか?

というようなことを具体的に、「塩基好性の増強の程度」までを含めて医療に役立つように伝えるのが検査情報であり、検査が必要な目的です。しかし、具体的だと思っている「数値」だけでは、上記3個の情報にはならず、塩基好性の増強の程度を除外してしまうとリンパ球の情報としては不完全でしょう。

 私たちはリンパ球の「形態の多様性」の意味を見抜いて情報として伝える、その手段すなわち、数値化できない事項は「コメント」が付加価値として必要になります。

 このような考え方の行き着くところに、俗な表現ですが「怪しい細胞」すなわち、リンパ性腫瘍細胞がみえてくると考えると、いかがでしょう。

 体裁

 B5版(本文 305頁)

 目次(序論・1〜24まで9頁)

 索引(欧文A〜Z 2頁、和文索引19頁 合計21頁)

  (頒布いたします)

入手方法の問い合わせ(nakatake@kdt.biglobe.ne.jp)半角アットマークで可能です。