技術講習会(Wet Lab)(杏林大学 三鷹キャンパス)
第3日目 2011年8月5日(金) 9:30 ~ 16:00
講習会受講者のうち希望者を対象に行います。技術講習会(Wet Lab)のみの受講はできません。
参加者の方は、あらかじめ1つのコースを登録して、受講していただきます。
コース一覧(※ お申し込み状況は6月13日現在です)
コース | タイトル | 定員 |
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A | (締め切りました)蛍光顕微鏡基礎知識の修得 ― 観察からデジタルカメラによるタイムラプス撮影まで | 12名 |
B | (締め切りました)光学顕微鏡の基礎から、3D イメージングの実際まで | 10名 |
C | (締め切りました)共焦点レーザー顕微鏡の基本テクニックとスペクトルイメージング | 10名 |
D | (締め切りました)レーザーマイクロダイセクション -組織標本、植物組織、蛍光標識サンプル、培養細胞など多様な材料からの LMD- | 20名 |
E | (締め切りました)免疫組織化学染色の基礎とマイクロウェーブを使用した迅速染色法(特殊染色・免疫組織染色)、ティッシュアレイヤー装置を使用したアレイブロック作製 | 20名 |
F | (締め切りました)基礎から学ぼう ウェスタンブロッティング | 10名 |
G | (締め切りました)様々なサンプルからのリアルタイム PCR による迅速な遺伝子発現解析 | 18名 |
H | (締め切りました)In Situ Hybridization 法の基礎と自動前処理装置の活用 | 15名 |
I | (締め切りました)組織検体からの核酸抽出 | 20名 |
J | (締め切りました)初めての二次元電気泳動 & ウェスタンブロット | 25名 |
K | (締め切りました)簡便な凍結技法〈生体内〉―凍結置換固定法の免疫組織化学への応用 | 10名 |
L | (締め切りました)川本法による未固定非脱灰凍結切片とパラフィン切片の作製 | 15名 |
コースの概要
A コース:蛍光顕微鏡基礎知識の修得 ― 観察からデジタルカメラによるタイムラプス撮影まで
細胞研究の基本的な手法として、蛍光顕微鏡を用いて細胞を観察し記録する方法があります。この講座では、蛍光標識した細胞内オルガネラのタイムラプス撮影を通して、顕微鏡とデジタルカメラの正しい使用法を修得していただく予定です。
- 【講義講習】
- 蛍光観察のアプリケーションについて
- 対物レンズの基礎知識
- 位相差、微分干渉、蛍光の各観察法の基礎知識
- デジタルカメラの基礎知識
- 【実習講習】
- 顕微鏡の基本調整法
- 位相差法、微分干渉法の調整、操作法
- 蛍光顕微鏡の調整、操作法
- デジタルカメラの調整、操作法とタイムラプス撮影法
- トラブルシューティング
B コース:光学顕微鏡の基礎から、3D イメージングの実際まで
(企業サイトへ)
近年、顕微鏡を用いたイメージングの重要性が高くなって来ております。本講習では、基本的な研究機器である光学顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、講義と実習で基礎理論から正しい取扱方法、画像取得の方法、3D イメージングまでのエッセンスを受講者の方々にお伝えする事を目的と致します。
- ◎ 講習内容
- 光学顕微鏡の歴史及び基礎知識(講義)
- 光学顕微鏡の取扱・調整の実際(顕微鏡実習)
- 光学顕微鏡での観察・撮影の実際(顕微鏡実習)
- 共焦点レーザー顕微鏡の基礎知識(講義)
- 共焦点レーザー顕微鏡の取扱・調整の実際(顕微鏡実習)
- 共焦点レーザー顕微鏡での観察・撮影の実際(顕微鏡実習)
- 3D 解析の基礎知識(講義)
- 3D 解析の実際(実習)
- ◎ 使用機器
- AxioImager, AxioCam, AxioVision, LSM510META(ZEN ソフトではありません), IMARIS
C コース:共焦点レーザー顕微鏡の基本テクニックとスペクトルイメージング
共焦点顕微鏡は、バイオイメージングにおいて非常にポピュラーなツールとなっています。近年様々な応用技術が開発されており、その一つであるスペクトルイメージング機能を利用することで、蛍光ピークが近接している複数の蛍光色素のシグナル分離、あるいは自家蛍光と蛍光シグナルの分離などへの応用が高まってきています。本実習では、共焦点顕微鏡での画像取得に際してのレーザーやフィルターの選択、パワーやゲインの調整等の基礎知識とテクニックを学ぶと共に、自家蛍光でバックグラウンドの高い標本から、ターゲットとしている蛍光シグナルを的確に分離・表示するテクニックを会得していただきます。共焦点顕微鏡の基本的なテクニックのノウハウ、スペクトルイメージングを利用した自家蛍光除去を経験して、様々な標本で高画質の共焦点がベストのパフォーマンスを発揮できるスキルを身につけていただくことを目的といたします。
D コース:レーザーマイクロダイセクション -組織標本、植物組織、蛍光標識サンプル、培養細胞など多様な材料からの LMD-
近年のレーザーマイクロダイセクションでは装置性能の向上により、より厚く、硬い標本への対応や、速く効率の良いダイセクションが可能となっています。また、培養細胞の回収や、蛍光標識標本からの RNA 抽出、パラフィン標本からのプロテオーム解析など従来難しかったアプリケーションも可能となってきました。
本コースでは、凍結・パラフィン標本の作製からレーザーマイクロダイセクションの原理・手法に関する基本的な内容の講習と実習、組織標本からの RNA 抽出、培養細胞回収、パラフィン標本からのプロテオーム解析といった実践的なアプリケーション事例についてご紹介致します。
- レーザーマイクロダイセクションの原理に関する講習と、研究事例の紹介(講義)
- レーザーマイクロダイセクションの操作に関する実習
- 凍結・パラフィン標本の作製(講義、実演および実習)
- レーザーマイクロダイセクションでの培養細胞回収(実演、実習)
E コース:免疫組織化学染色の基礎とマイクロウェーブを使用した迅速染色法(特殊染色・免疫組織染色)、ティッシュアレイヤー装置を使用したアレイブロック作製
免疫組織染色法は抗原に抗体反応をさせ、可視化し顕微鏡で観察する方法です。マイクロウェーブ処理とは、マイクロ波によって分子運動を活発化させ、その効果は賦活化・免疫組織染色の反応・固定・脱脂・脱灰・特殊染色・ FISH 法などで有効性が確認されています。また、近年ではワンディパソロジー(迅速病理診断)が提唱されておりマイクロウェーブを利用した迅速化が期待されています。一方、組織マイクロアレイはドナーブロックの特定部位をくりぬき多数配列した組織集合ブロックです。アレイブロックを免疫組織染色などの方法を用いて特定の抗原などを検出することで網羅的な解析を可能にします。本コースでは、ティッシュアレイヤー装置を使用したコントロールブロックの作製と「パラフィン切片保存シート」に貼られた切片を活用し、マイクロウェーブ装置による賦活化・迅速免疫組織染色の反応・迅速特殊染色を体験していただきます。
F コース:基礎から学ぼう ウェスタンブロッティング
目的タンパク質の発現を検出する方法として、タンパク質をブロットしたメンブレン上で抗体・酵素反応を行うことにより標的のタンパク質を検出するウェスタンブロッティング法は現在でも広く用いられています。本ワークショップではサンプルを SDS-PAGE により電気泳動、ウェット式転写装置によるメンブレンへのブロッティング、抗体反応による目的タンパク質の検出までのウェスタンブロットの一通りの流れを実習形式で学ぶことが出来ます。また組織からのサンプル調整方法、電気泳動・ウェスタンブロッティングの原理、検出法に対する基本的な考え方やノウハウ・試薬の選び方などについても解説いたします。これからウェスタンブロットを始めようと考えている方やウェスタンブロットの原理・最適化の方法を学びたい方にお薦めのワークショップです。
G コース:様々なサンプルからのリアルタイム PCR による迅速な遺伝子発現解析
(企業サイトへ)
リアルタイム PCR は多様な研究の現場で活用されており、最近では培養細胞や組織のみならず、パラフィン包埋サンプル(FFPE)やレーザーキャプチャーマイクロダイセクションなどの微量なサンプルを用いた遺伝子発現解析が可能となり、研究の多様性がさらに広がっています。
今回の実習ではサンプルからの RNA 抽出、cDNA 作製、リアルタイム PCR での反応系構築と内在性コントロールの選択やデータ解析までの一連の実習を体験する事で、実験手技の流れとポイントを習得する事を目的としています。実験反応の待ち時間などを利用し、リアルタイム PCR の基礎原理から特殊なサンプルでの PCR Primer 設計のポイント等もあわせて説明しますので、これから遺伝子発現解析を始められる方のみならず、実際に実験を行っているが結果を思うように得ることができず、トラブルの解決に時間と手間がかかっている方にも有効となる内容を提供します。
H コース:In Situ Hybridization 法の基礎と自動前処理装置の活用
in situ Hybridization(ISH)法は、組織切片上で特定遺伝子の発現様式を解析する方法です。標識核酸プローブと組織切片内の目的遺伝子をハイブリダイゼーション反応により結合させた後、プローブ上の標識物質を抗原とする抗体を結合させます。抗体には酵素や蛍光分子が標識されており、酵素による発色反応もしくは蛍光により遺伝子の発現様式を可視化します。ISH 法は一般的には mRNA をプローブとして使用するため、RNase Free の環境下でのサンプルの準備(固定・薄切)、実験器具・試薬の準備、ISH 反応が必須になります。当コースでは組織切片サンプルを使用したデモ的な実習により実験準備から反応後の検鏡まで ISH 法の基礎を習得します。また弊社で開発した自動前処理装置を使用した ISH 法の簡便化についてもご紹介致します。
I コース:組織検体からの核酸抽出
近年の Companion Diagnostics などの普及等により、臨床使用を目的とした組織検体からの DNA、RNA 抽出の機会が増加しております。リアルタイム PCR 法に代表されるアッセイフローのダウンストリームはサンプル調製の影響を強く受けると考えられる為、その質の向上は以前にも増して要求されています。
本講習は組織検体からの核酸抽出を例に様々な問題点と向き合いながら実地経験を積んでいただくことと、その自動化プロセスの紹介を目的としております。
J コース:初めての二次元電気泳動 & ウェスタンブロット
近年、プロテオミクス分野の発展に伴いタンパク質を扱う技術の重要性も増しています。二次元電気泳動は、タンパク質の網羅的な発現解析技術として汎用されています。ウェスタンブロッティングは特定のタンパク質の発現解析を特異的かつ高感度に行う手法として利用されています。
本セミナーは、これから二次元電気泳動やウェスタンブロッティングをはじめられる方を対象とした基礎的な内容です。ぜひお気軽に、ご参加ください。
- ウェスタンブロッティングセミナー(午前)
- 泳動分離、ブロッティング、抗体反応、そして検出までウェスタンブロッティングの流れ
- バックグラウンド、非特異的なバンドを抑えて高感度検出を行うためのコツをご紹介いたします。
- 二次元電気泳動セミナー(午後)
- 二次元電気泳動の原理、サンプル調製から画像解析までの実験手順の基礎テクニック
- 実験成功に必要なポイント、トラブルシュートをご紹介いたします。
K コース:簡便な凍結技法〈生体内〉―凍結置換固定法の免疫組織化学への応用
光顕免疫組織化学において、試料作製過程での凍結技法の有用性は、よく知られています。その理由としては、分離細胞や切除組織の凍結融解処理での抗体等プローブの浸透性亢進を期待することがあげられます。一方では、組織の固定・脱水等に伴う人工産物形成をできるだけ避けるために、凍結技法を使用することも行われてきました。本コースにおいては、動物生体内可溶性蛋白分子局在を保存した組織標本を観察するために、液性寒剤を利用する凍結技法-凍結置換固定法を学んでもらいます。
- 液性イソペンタン・プロパン混合寒剤(-193℃)の簡便な作製法、
- 新鮮切除マウス肝・腎組織の浸漬凍結技法、
- 麻酔下マウス各臓器の生体内凍結技法とクライオ生検法、
- 凍結試料の2%パラフォルムアルデヒド・アセトン中での凍結置換固定法、
- 凍結置換固定組織からの凍結切片作製と免疫染色法、
- 共焦点レーザー顕微鏡での観察
L コース:川本法による未固定非脱灰凍結切片とパラフィン切片の作製
酵素組織化学、免疫組織化学、in situ hybridization 法は、生命科学の研究、病理診断等において基本的な手法で、凍結切片は酵素活性や抗原性の保存に優れていることから重要な役割をはたしています。川本忠文先生(鶴見大学・歯学部・RI 研究センター)によって開発実用化されました切片支持用粘着フィルムを使用する方法により、凍結切片作製が困難であった試料、パラフィン切片作製が困難であった試料等から形状が保たれた薄い切片を安定して作製することができるようになりました。
本コースでは、川本先生の講演と実演・実習を行います。凍結切片作製では、(1)凍結包埋、(2)凍結切片作製、(3)染色・封入について、パラフィン切片作製では、(1)切片作製、(2)脱パラフィン、(3)染色について行います。また、研究への応用について、川本先生に直接相談することができます。