日本小児臨床薬理学会学術集会で大橋薬剤師が受賞

作成日時:2019年10月30日

 9月28日、29日に開催された第46回日本小児臨床薬理学会学術集会で、当院 大橋知佳薬剤師が令和元年大西記念小児臨床薬理学会賞を受賞しました。
 本賞は、若手研究者による研究推進を目的とし、優れた研究を発表した研究者へ贈られるものです。大橋薬剤師が受賞したのは、平成30年度に論文発表した研究「新生児細菌性結膜炎の発症予防に対する出生時抗菌点眼薬の必要性に関する調査」です。
 当院では、出生時全例でエコリシン®点眼液による新生児細菌性結膜炎の発症予防を行っていましたが、平成27年10月に同点眼液の販売中止の発表を受け、代替薬の必要性を医師と協議しました。その結果、抗菌点眼薬による新生児細菌性結膜炎の発症予防に関するエビデンスが乏しい点から、当院では平成29年2月1日より母体性感染症未治療や妊婦健診未受診の症例を除き、出生時に新生児細菌性結膜炎の発症予防目的で抗菌点眼薬は投与しないこととしました。
 そこで大橋薬剤師は、出生時のエコリシン®点眼液投与の有無による新生児細菌性結膜炎発症率を比較し、新生児細菌性結膜炎の発症予防に対する抗菌点眼薬の必要性について検討する研究を行いました。今回の研究結果では、出生時のエコリシン®点眼液非投与群において新生児細菌性結膜炎発症率の増加はなかったことから、正期産児に関しては一律に出生時抗菌点眼薬を投与する必要性は低いと考えられました。
 上記研究内容が小児臨床薬理学の進歩に大きく貢献したと認められ、この度表彰されました。今後も引き続き臨床の場で研究を行い、小児科領域の薬物療法の発展に寄与することを期待いたします。

薬剤部 部長 篠原高雄