病院・診療科について夏バテ対策と生活習慣

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 夏も終わりになりますと中高年の中に全身倦怠感、易疲労感、意欲低下、食欲低下などの体調不良を訴える人が出てきます。これは夏の高温多湿の生活により、自律神経の働きに変調が生じた影響で、“ 夏バテ” と呼ばれています。普段より自分の健康に気を付けている人はなりにくいので、夏バテになった人や多忙で健康管理ができない人も、秋に備えて日頃の生活習慣を見直しましょう。
 低下した体力の回復や増強のために、生活環境(室温)と生活習慣(食事、睡眠、運動、ストレス、飲酒、喫煙)をチェックしてみましょう。
 まだ残暑が厳しい場合は、職場や家庭の室温を28℃に調節し、下げ過ぎや多湿に気をつけましょう。
 食生活は、バランスの良い食事を規則的に食べ、朝食はきちんととりましょう。特に蛋白質、野菜、ビタミンが不足しないように注意し、過剰の脂肪や炭水化物、間食は控え、適正体重を維持しましょう。
 睡眠は、7時間を目標に充分とり、早寝早起きを心掛けましょう。運動は、散歩や階段を使うなどの軽いものより始め、1日10,000歩を目指して下さい。
 ストレスは、過度に続かないように仕事量を調節します。飲酒は、適量(1日ビール500ml、日本酒1合、焼酎0.5合以下)に減らし、深酒は避け、休肝日も設けた方がよいでしょう。喫煙は、禁煙を念頭にたとえ1本でも減らしてみます。
 これらの良い生活習慣は、夏バテやメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を改善させ、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血の予防にも繋がります。健康を自己管理する習慣を身につける第一歩として、可能なものからぜひ実行して下さい。
 生活習慣を見直しても、全身倦怠感などが続く場合は、まれに病気が隠れていることもありますので、病院や人間ドックを受診しましょう。

(山本 実:杏林大学医学部教授)

杏林大学新聞 第6号より抜粋