病院・診療科について自粛生活と熱中症

 緊急事態宣言に伴う自粛生活が続き、新緑の心地よい気候を感じる間もなく梅雨の時期になりました。
 室内に篭り「適温」の環境に慣れてしまうと、急激な気候の変化に身体が順応できず体調を崩してしまうことになります。自宅にいながらも、定期的な換気などをして季節の移り変わりを感じるように心がけましょう。  東京の夏は「酷暑」などと表現され、ニュースでは毎日のように熱中症が取り上げられていました。それだけ熱中症の知名度が上がり警鐘を鳴らしても罹患者は減らず、老若男女問わず死亡に至る危険度の高い病気です。

どのようにして熱中症が起こるか?

 

 熱中症は3つの要因から引き起こされます。
1.気温や湿度が高い、風通しが悪いなどの「環境」
2.高齢者の方や持病のある方、寝不足などの「身体」
3.運動や、水分摂取できない状況などの「行動」が要因となります。
 ですから、仮に生来健康で元気な若者も、高温多湿・無風の環境下で水分摂取しないでいると容易に熱中症にな り得るのです。

熱中症かな?と思ったら

 

 熱中症は3つの重症度に分類されます。軽症であるⅠ度は気分不快などの症状から始まります。Ⅱ度へ進行すると頭痛や吐き気などが出現します。 少しでも身体の不調を自覚したら、涼しい所へ避難し、身体を冷却し水分と塩分を補給しましょう。

新型コロナウイルス感染症と熱中症

 熱中症の初期症状は新型コロナウイルス感染症の症状にも当てはまる ため、実際に症状が認められた場合は不安になるでしょうし、医療機関も対 応に追われ負担がかかる可能性があります。
 何よりもまず予防が大切ですので、先述した熱中症の要因を避けるとともに、感染予防としてマスク着用や「3密」を避ける行動も継続し、今夏を乗り切りましょう。

(持田 勇希:杏林大学医学部付属病院 救急科医師。専門は救急・集中治療、大動脈外科)

杏林大学新聞 第23号より抜粋