病院・診療科について骨粗しょう症と栄養

骨粗しょう症とは

 骨強度が低下して、骨折しやすい状態になることです。わが国では 1300 万人以上と推測されています。
 骨は、コラーゲンを中心としたたんぱく質の枠組みの上に、リン酸カルシウムが沈着(石灰化)して形成されます。骨強度は骨量(カルシウムなどミネラルの量・密度)と、骨質(枠組みとなるコラーゲンの量や構造、ミネラルの沈着具合など)で総合的に判断します。また、ビタミンD、ビタミンK、葉酸などの不足も骨量の減少や骨質の劣化に影響します。

骨粗しょう症の予防には

 骨量は成長期に増加し、20 歳頃に最大骨量に達します。その後、男性では50 歳代から、女性では閉経後に骨量が減少します。成長期に骨量を十分に増加させて最大骨量を高めておくとともに、その後は骨量を減少させないことが大事です。そのためには必要な栄養素を摂取し、適度な運動をすることが大切です。
 さらに、高齢者では腸管からのカルシウム吸収率の低下や運動負荷の減少により骨量が著しく低下していることが多く,骨量の維持とともに転倒の防止が重要です。十分なエネルギー・たんぱく質量を確保し、筋肉を維持することがカルシウム摂取以上に必要です。

骨に関わる栄養素

 一日にとるカルシウムの推奨量は成人600 ~ 800mg、成長期の子どもは 650 ~ 1000mg です。牛乳 200ml で 230mg、小松菜小鉢 1 杯で 120mg のカルシウム を摂取できます。カルシウム以外にも、ビタミン D(魚介類や茸類)やビタミンK(納豆や緑の野菜)が不可欠です。
  最近は、ビタミン D の不足が世界的に問題とされており、日本では日光に当たらない高齢者や若い女性・妊婦などで不足が多いと言われています。
 また、ビタミン C、ビタミン B 群(B6、B12、葉酸)、マグネシウム、たんぱく質も関わっていることから、特定の栄養素にとらわれすぎず、日々たんぱく源(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)、野菜、果物などを含むバランスのよい食事をとることが重要です。

2020.10 中村 未生:医学部付属病院 栄養部 管理栄養士