健康ひとくちメモヒートショック対策~サウナを楽しむために~

 老若男女問わずサウナを好んで利用する人が増えたのではないでしょうか。サウナは血行促進やリフレッシュ効果などの良い面があります。しかし、高齢の方や若い方でもサウナによるヒートショックと考えられる事故で救急搬送されるケースが目立っています。このため、サウナを安全に楽しむためにヒートショックについて知ることは非常に重要です。

ヒートショックとは何か

 ヒートショックは、急激な温度変化が影響し、血圧や心拍数が大きく変化し、その時に体に悪影響が生じることです。サウナ中と水風呂中に起こる身体の変化をまとめたのが(表1)です。

(表1) サウナ中と水風呂中に起こる身体の変化
サウナ(高温) 血管拡張、血圧低下、発汗、脱水
水風呂(低温) 血管収縮、血圧上昇、頻脈、徐脈

 例えば、サウナルームで体を温めた後、水風呂で急激に冷やす行為は危険を伴います。水風呂の強烈な寒冷刺激によって、交感神経が反応し、血圧の急上昇や、頻脈になることがあるのです。そして、寒冷刺激に長くさらされると脈が遅くなる徐脈が発生することもあります。頻脈・徐脈などから失神し、転倒により頭部打撲や出血、骨折する場合もあり、大変危険です。これを防ぐためには、以下のポイントを押さえましょう。

サウナを楽しむための5つのポイント

  1. 飲酒後は控えましょう
  2. 体調が少しでも優れないと感じたら、利用を控えましょう
  3. 休憩時間を作りましょう
  4. 入る前や途中で水分を十分に補給しましょう
  5. 高血圧や心臓・脳・血管・呼吸器などに疾患がある人はかかりつけ医に相談しましょう

もしもの時 出血の対処法

 場合によっては、万全の準備をしても不測の事態が発生することや遭遇することがあります。もしも、転倒して出血してしまったときは、まずは以下のような対処を行ってください。

  • 出血している傷口に布を当て、強く押さえる圧迫止血を行う
  • 約10分間圧迫をする。それでも止まらない場合は圧迫を続ける
  • 傷は心臓の位置より高くするため、 枕などを入れることもなども有効

※頭を強く打っている可能性がある場合、傷口が深い場合、10分程経っても出血が止まらない場合は救急車を呼んでください

最後に

 サウナは身体が温まり気持ちよいですし、正しい方法で(急激な温度変化に気を付けて)入れば健康にも良いという報告もありますので、安全にサウナを楽しんで頂けたらと思います。入り方を間違えると、サウナで事故に遭う人がいらっしゃいます。ぜひ、今回ご紹介した話を参考にして、安全にサウナを楽しんでください。

2024年2月
杏林大学医学部付属病院 救急総合診療科
診療科長 教授 長谷川 浩
(※杏林大学新聞第30号より抜粋)