大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第2回翻訳部門(英語→日本語)講評

論文・翻訳コンテスト

翻訳部門(英語→日本語)講評

外国語学部教授 原田 範行

今回、英語→日本語部門には367件の応募がありました。原文は、日本の道路事情を活写した軽妙洒脱な英文。審査にあたっては、原文の正確な理解を前提に、この軽快なテンポを活かした翻訳を評価することにしました。原文は平易な英字新聞からの引用でしたが、特に次の2点で意味を誤解しているものが目立ちました。一つは、2段落の“live up to the ‘service’ part of the name”(「まさにサービスの名にふさわしい」)。もう一つは、3段落末尾の“Japan’s traffic problems are cleverly convincing more and more people to get around this problem”(「(人々は)日本の交通事情を通じて、渋滞を回避する賢い方策を見出しつつある」)。特に後者は、誰が何をどうしつつあるのか、という基本的な関係を見落とした逐語訳が少なくありませんでした。無生物主語の捉え方や時制への意識、副詞の処理などについて、もう一度よく復習していただきたいと思います。原文の持つ軽快さについては、優秀賞・奨励賞を受賞された皆さんの訳文をご覧ください。特に、奨励賞の塩島さんの訳文はよく工夫されたものでした。

審査の結果、奥山さんが優秀賞、江里口さん、塩島さん、南さんが奨励賞となりました。奥山さんの翻訳は、“service”を「接客」としており、含意の点で多少問題が指摘されましたが、全体として非常にしっかりとした翻訳となっており、十分優秀賞に値すると判断されました。江里口さん、南さんの訳文も評価できるものでしたが、細部においてそれぞれ若干問題点があり、奨励賞となりました。塩島さんについては、上記の通り、テンポのよい訳文に仕上がっていましたが、やはり最後の部分がぎこちなく、奨励賞となりました。

審査員はお送りいただいた英文を一通ずつ、丁寧に審査しましたが、その過程で高校生の皆さんの英文理解やその翻訳に対する関心の高さを改めて実感しました。単なる和訳とは違い、翻訳は、適切な日本語に表現するということを通じて原文の意味を正確に理解するという作業です。異文化間コミュニケーションの第一歩として、是非、翻訳の力をさらに磨いてほしい、というのが審査員一同の願いです。

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