大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第3回論文部門講評

論文・翻訳コンテスト

論文部門講評 教授 金田一秀穂

本年は昨年を質量ともに上回る力作論文が寄せられ、審査員一同、大変感激しました。どれも、極めて真面目に課題に向き合っている姿が見て取れて、甲乙つけがたい状況であり、高校生諸君の未来への希望が持てました。ありがとうございます。

その中で第一席に選ばれた蒲田雅子さんの「助数詞の力」は、群を抜いた実証性、独自性で、満場一致でえらばれました。助数詞と言う身近な言葉から研究を始めるといういかにも高校生らしい素直な感性、そうして、周りの外国人たちから量詞の存在を聞くと言う積極性、また視野の広さ。そうしておいて自分で幼稚園児を対象としてアンケート調査を行なう実証性。最後の助数詞の意味づけに至る結論までの運び方の論理性など。大変優れた研究論文になっていると評価されました。こうした方法論を身につけている蒲田さんの将来は大変嘱望されるものといえます。更なる深化が楽しみです。

森山亮君の「英語を小学校で習うことについて」は、難しい課題について、非常に整理された論の運び方がされており、好感が持てました。さまざまな意見について、その両面を見ながら、冷静に判断されており、おのずと最終的な問題点が浮かび上がる、という書き方は、大変見事でした。いろいろな文献を見ており、勉強家であると感じさせました。

鳴海愛さんの「二〇一七年の観光旅行」は、とかく夢物語の空想に終わってしまいそうな課題について、大変現実的で地に足の着いた答えを用意してくれました。地球環境の変化と科学技術の進歩によって、旅行を取り巻く状況は大きく変化していると思われますが、そこから考えられる可能性と問題点を、大変短くですが、整理して見せてくれました。

自分の身の回りに、さまざまな研究の課題が転がっています。それに気付くことができるのは、頭の柔らかな高校生以下の世代です。また、それについてある程度説得力のある論理を展開するのは、高校生以上の知力がなければ出来ないでしょう。こうしてみると、高校生という中途半端な世代が、研究にとってはもっとも楽しい世代なのかもしれません。そんなことに気付かせてもらった今回の審査でした。

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