大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第3回英語訳課題文

論文・翻訳コンテスト

第3回論文・翻訳コンテストの課題

英語訳課題文

次の文章を読んで、下線部を英語に翻訳してください。

子供が幼稚園で一番仲良しだったお友だちが、お父さんの転勤で大阪に引っ越してしまった。・・・母親同士は引っ越しのあとも電話で話したり、携帯メールを送り合ったりしている。もちろん子供同士でも電話で話をさせたりしてもいいのだけど、メールはまだ使えないし、手紙は時間がかかる。何かもっと気の利いた方法はないだろうか、と考えているうちにファックスで絵手紙みたいなものを送ることを思いついた。・・・タイトルは「ペンギンさんつうしん」・・・僕が描いた「ペンギンさんつうしん」を子供も面白がって、すぐに真似して描き始めた。僕が描いたのと子供が描いたのを、さっそく大阪へファックスで送った。ファックスをちゃんと理解していない子供は「送ったのにどうしてまだあるの?」と不思議そうにしている。そして相手のお母さんからすぐに「素敵です、ありがとう!」とメールが届いた・・・。

考えてみると、ファックスは子供たちにとってもやさしい、よくできた機械だと思う。紙に描いた絵や文字が、そのまま相手のところに届く。子供たちの幼いけれど個性的な文字や、絵の面白さはまったくメールでは伝わらないし、メールで同じようなことをしようとすると、子供の絵をスキャンして、メールに添付してと、とてもじゃないけど面倒くさくてやっていられない。受けとった相手も画面上ではなくて紙を手にして何度も眺められるのがいい。あらためて、ファックスの基本である「紙を入れると、相手側にも紙が届く」というのは、あたりまえのようでいて実はすごいことだな、と再認識した。こちらが描いたのと同じ大きさで届くというのも、重要なことだ。例えば、子供が自分の手の輪郭を紙の上でなぞって描いて送れば、相手の子供はそのファックスの上に手を置いて大きさを比べられる。こんな自然で大切なことが、他のメディアではできない。子供たちに向いている、ということは我々大人にもやさしい、身体に近いメディアだということなのである。

出展:(岩井俊雄「ファックスつうしん」『i feel(アイ・フィール) 読書風景』33(2005年夏号) 46-47.)

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