論文・翻訳コンテスト

大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第4回論文部門「スポーツイベントの魅力」講評

論文・翻訳コンテスト

第4回論文部門「スポーツイベントの魅力」講評 教授 鳥尾克二

 この課題には88件の応募がありました。今年はオリンピック開催年に当たることから、論文内容は北京オリンピックに関する記述が全体の3分の2を占めました。残りの3分の1はオリンピック、高校野球、自らのスポーツ体験に関する記述の組み合わせで構成されています。

 スポーツイベントは政策、事業等の経済的観点のほか、社会、個人レベルでの人間活動の関係性を持ち合わせます。また、参加者、観戦者の面からは双方を繋ぐ意味的、価値的視点や文化的、交流的側面を見出すこともできるでしょう。オリンピックを題材とする論文では、大半が、国家イベントとしての観点からその社会的意味づけと、競技が与える一体感への肯定的感想をテーマに記述していました。

 松林さんは、課題を俯瞰的に捉え、「参加するスポーツイベント」と「観るスポーツイベント」双方に魅力を認め、その所在と理由を的確に論考しました。前者では交流とコミュニケーションを、後者では感情移入する私とその私への出会いの魅力を指摘しています。さらに、スポーツイベントを観る側と観られる側の二つの視点から分析しています。観られる側のプレーやパフォーマンス表現と、見る側の評価参加を双方一体のコミュニケーションと捉え、その一致がもたらす感動を魅力と捉えています。しっかりした課題感知力、分析力に裏打ちされたみずみずしい好論述でした。

 高橋君は、オリンピックや高校野球のみならず、身近なスポーツイベントが、世代を超えて観客や生活者に与える意味とメッセージを体験に基づき指摘しました。中学生時代の運動会の練習に打ち込む生徒たちが、隣接する病院の入院患者に送った無意識のメッセージをスポーツイベントの価値的側面から捉えています。スポーツの普遍性や意味を観察する感受性と、身近な視点から論点をまとめる好もしい分析視線がありました。

 二人の視線は、観光の視線にも通じています。これからも身の回りの現象から様々な観点と学びを受け取ってください。

このページのトップへ

PAGE TOP