大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第4回論文部門(タイトル)講評

論文・翻訳コンテスト

第4回論文部門「映画の魅力、本の魅力」講評 教授 黒田有子

 第4回論文・翻訳コンテストでは、3つの課題が出されました。その中でも「映画の魅力、本の魅力」は最も多い105件の応募をいただきました。個人で応募して下さったケース、高校の担当の先生のご指導で何名かのクラスメートが挑戦して下さったケースなどがありました。応募件数の多さからも高校生にとって映画や本はなくてはならない身近な存在であることがわかりました。

 タイトルに倣って両者それぞれの魅力を順に論じるスタイルが多くみられましたが、対比というよりも補完し合う関係、二律背反的な関係ととらえた論もいくつかありました。全体として、誤字脱字は好ましいものではありませんが、「 」や句読点の扱いにも注意して原稿用紙を使用していただきたいと思いました。

 通り一遍のことを述べるにとどまらない、それぞれの切り口に個性をのぞかせた5編をまずは審査員全員で選び、その中から優秀賞と奨励賞をそれぞれ1名に決定しました。映画については、臨場感、音楽、メッセージ性に言及したものが目立ちました。また、本については、言葉のもつ力に圧倒された経緯が語られるものが目を惹きました。また、両者を「旅」に譬えて、世界の果てまで、歴史を越えて、また空想の世界へ誘うというような言葉で表わされる経験をしたものも見られました。

 久山貴暉さんは、文章にやや荒削りなところも見られるのですが、高校生らしいストレートさで自分の論をしっかりと持っているところが高く評価されました。高校の国語の授業で『羅生門』に出会い、作品のメッセージ性に触れたことが感動をもって説明されていました。「メッセージはそれぞれの読者だけがもつ宝」であることを自分の言葉で一生懸命に伝えようとしているところにも好感が持てました。本であれ、映画であれ、感動する作品に1つでも多く出会ってほしいと思います。

 山本愉香さんは、映画と本の共通点は「計画されたリズムを受動する」ことであり、それが両者の違いでもあるとしています。本をたくさん読み、映画をたくさん観ている山本さんは、豊かな言葉の世界でそれらについて語っていきます。引用が多くもあるのですが、自分自身で体得したリズムで映画と本について雄弁に語っている姿に、将来も何らかの形でこの世界に関わりをもっていくのではないかと予感させられました。

 今回応募をして下さった皆様に改めて御礼を申し上げます。

このページのトップへ

PAGE TOP