大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第4回論文「誰もが熱中する行事」

論文・翻訳コンテスト

誰もが熱中する行事 橋 祥徳

 スポーツイベントが持つ魅力の一つに老若男女誰でもが熱中できるということがあると思う。今年は中国の威信をかけた北京オリンピックが開催された。そのために高画質なテレビに買い替えたりする人もけっこういたという。現に北京オリンピックの開会式では視聴率が三十五%に達したという。日本国民の三分の一以上が見ていたということになる。それほど皆が国家間のスポーツの祭典に関心があるのである。私の母もオリンピックの試合を早めに済ませたりして、できる限りオリンピック観戦をしていた。普段スポーツにあまり関心がない祖母でさえも熱心に見ていた。日本で東京オリンピックが開催されたときには日本全国の人々が観戦して日本中が歓喜にわいたという。戦後復興で暗いイメージが漂っていた中で明るいイベントが人々の心を明るくしたのである。オリンピックは国家間の祭典であるから自国だけの問題だけではない。自ずと国家間の協力が必要となる。今年はオリンピックの際中にロシアとグルジアの武力衝突という悲しいことがあったが基本的には軍事的な問題は介入しにくくなると思う。オリンピックは世界的な平和にも貢献しているのだと思う。
 オリンピックは世界的規模のスポーツイベントだが、身近なスポーツイベントでいえば運動会や春、夏の全国高校野球の選手権大会、甲子園がある。私はこの高校野球にこそスポーツイベントの醍醐味があると思う。私はこの夏時間が空いたら高校野球を見ていた。応援席をテレビで見るとそこに映っていたのは学校の生徒はもちろんのこと地域の人や老人小さな子供や卒業生であった。北海道から沖縄までのさまざまな地域独特の歌や方言などがそこにはあった。飲食店や病院などに入ってもテレビで放映されているのはプロ野球ではなく高校野球。これは年齢を問わず見ているということである。また大会の途中にアナウンサーに送られてくる応援メッセージでは母校が出場していると知って送ってくる人の中に五十代の人が見うけられた。これはオリンピックにも共通していることだが、年齢が本当にさまざまである。特に高校野球は負けたらそこで終わりなので自ずと懸命にプレーをする。やはりそれは人々に感動と元気を与える。病人や老人に受け入れられるのもこのことがあってのことかもしれない。
 病人を勇気づけるといえば、私は中学生のころの運動会を思い出す。誰でも何回も経験するこのスポーツイベントは意外なところで人々に貢献していることがある。私が卒業した中学校は大きな病院に隣接していて、けがをすればそこに行き治してもらっていて世話を受けていた。その病院にはもちろん多くの患者が入院している。もちろんそこには治る病気の患者だけでなく末期ガンなどのもう治らない病気の患者まで入院している。ある五月の日私たちの学校では本格的に運動会の練習が始まった。私たちは暑さの中で懸命に練習するのだが、ふと病院の方を見ると何人かの病人が練習を見ていた。それもその日だけに限らず毎日である。その病人たちは学校に電話をかけてきたという。その中で病人は「練習を見て元気づけられた、感動した」と言っていたそうである。私はこのとき運動会みたいな小さなスポーツイベントでも感動する人はいるのだということを実感した。
 スポーツイベントの魅力には大規模な大会を見て新しいスポーツを始める人が多いということにもあると思う。例をあげるならば、サッカーのワールドカップや2年前に初めて開催された野球の世界大会のワールドベースボールクラシックである。このワールドベースボールクラシックでは日本は世界の頂点に立った。このときの試合の模様は各メディアで報道された。普通日本の野球にすら興味を示さない人までもが熱中した。そしてこの試合の後スポーツ用品店の野球コーナーやバッティングセンターに来る人が増えたという。後にこのワールドベースボールクラシック効果と言われるこのことで人々の「野球離れ」を引き戻すことになった。ゲームばかりやっている子どもたちにも外で遊ぶことのきっかけを与えることになったと言ってもいい。また野球に限らずスポーツをやる際には必ず誰か他の人に手伝ってもらったり、相手になってもらわなければならない。その過程で相手との協力が好むと好まざるとに関らず生まれてくる。だから、もうすぐオリンピックから野球やソフトボールが姿を消すが、こうなると人々の夢や楽しみの一部が無くなることになるから本当は避けたいものである。
 このようにスポーツイベントの魅力はどんな人々も分け隔てなく楽しめるところにあると思う。それを通しての人々の協力や懸命さが見えるところにもスポーツイベントの良さはあると思う。

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