大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第5回論文・翻訳コンテスト総評

論文・翻訳コンテスト

第5回論文・翻訳コンテスト総評 講師 八木橋宏勇

 杏林大学外国語学部主催「第5回論文・翻訳コンテスト」に多くのご応募をいただき誠に有り難うございます。今回の作品数は合計で627編に上り、昨年の496編を大きく上回りました。内訳は以下の通りです。

論文部門

論文1 21編(「私の好きな方言」)
論文2 35編(「外国人に紹介したい日本の魅力」)
論文3 96編(「携帯電話は中学生や高校生に必要なのか?」)

翻訳部門


英語 日本語 447編
中国語 日本語 28編

 特筆すべきことは「47都道府県すべてから応募があった」ことで、全国の高校生による若さ溢れる、鋭く斬新な感性が盛り込まれた多くの作品と出会うことができました。各部門の審査に関する詳細は、各担当者の講評をご覧ください。以下では「論文」と「翻訳」に関する全般的な審査基準について指針を記します。

 論文は、ただ単に「思ったこと」を書き連ねるのではなく、テーマに対するご自身の主張と、それをサポートする理由や説明を明快に論じる必要があります。「私は○○と思う」とだけ記した場合、読む側からすると「なぜそう思うのか」「その考えは妥当なのか」など様々な疑問が浮かんできます。ご自身の主張をできるだけ一般化し、その妥当性を過不足なく明快に自ら示すことが求められます。「ことば」が何かを伝えようとする原動力は、そもそもの思いやアイディア、すなわち「こころ」の中にあります。ことばで示す前段階において、ご自身の考えを自らが細部まで明確に思い描き、それを巧みに伝達させるためにはどのような構成で、そしてどのような情報をいかに提示すると効果的なのか、この点をしっかりと考えて「こころをことばに乗せる」という意識で書いてほしいと思います。また、論文にはオリジナリティが求められますが、それにはテーマに対する基本的な知識を十分に持ち合わせていることが必須条件です。思いつきではなく、当該テーマの全体像の中にご自身の考えを位置づけることで、知識に裏打ちされた説得力のある論文となります。

 翻訳も論文と同じく、豊かな知性があって初めて創造的なものとなります。それは単に語彙や文法の知識だけではありません。翻訳はある言語で書かれた文章を別の言語に置き換えるという機械的な作業ではなく、究極的には「原文を読んでも訳文を読んでも、理解価値が等価になる」よう工夫する必要があるのです。原文の筆者が「ことばに乗せた思い」を、訳者は忠実に再現できるかどうかが腕の見せ所となります。

 今回も質の高い作品が数多く寄せられ、審査担当者は皆、大いに知的好奇心を擽られました。論文・翻訳コンテストは、杏林大学外国語学部と全国の高校生・関係者の皆様とを結ぶ貴重な懸け橋であり、5回目となる今回は、これまで以上に多くのご応募を頂戴いたしましたことを大変嬉しく思っております。果敢に挑戦されました皆様はもちろんのこと、本コンテストにご興味を抱いてくださったすべての方にも深く感謝を申し上げます。

このページのトップへ

PAGE TOP