大学ホーム外国語学部一般の方論文・翻訳コンテスト第5回論文「見出し」

論文・翻訳コンテスト

通信温度 鹿児島県・私立 鹿児島純心女子高等学校 二年 松田リツ子

 「ケータイなんて持ってる子いっぱいいるよ。」

 小学校五年生であったいとこが言った言葉です。私は驚くというより、不安を感じました。

 ケータイ、いわゆる携帯電話。今の世の中では当たり前に利用され、とても普及しています。現に私も利用していますが、高校生の私でも今の携帯電話の機能には驚嘆するばかりです。この携帯電話は、高校生が持っているなんて当たり前で、今は中学生、小学生も持っています。

 ここで、一つの問題点。

 「携帯電話は中学生や高校生に必要なのか。」ということです。

 私にとって携帯電話は「あったら便利だけど、なくても生活できる」ようなものです。だから私としては必要ないと思います。ですが、今の携帯電話には、子供の居場所がわかる機能もついており、防犯対策として子供に持たせる親もいます。こういう場合では必要だと思います。人それぞれで必要か不必要かは賛否両論だと思います。

 しかし、ここで注目しておきたいこと、それは最近の携帯電話が関連して起きる犯罪です。最近のニュースや新聞でよく耳にすることだと思いますが、このような事件の被害者は圧倒的に子供が多いようです。

 なぜ子供がこういった犯罪に巻き込まれるのか。原因として考えられるのは、やはり「携帯電話」です。守るために与えた携帯電話が、反対に犯罪に巻き込んでしまった・・・ということになりかねません。いじめに関しても、携帯電話のメールや掲示板で心ない書き込みをするなど、目に見えないことを利用して、悪質なことが行われています。親が知らないだけで、子供たちのケータイ社会は闇の方向へと進んでいるような気がします。

 最近では、警察の方々が親に対する子供たちの携帯電話に関する犯罪についての講演を行っていると聞きました。参加する人数は多数らしく、積極的だなと思います。しかし、親が目を光らせていても、携帯電話を利用する子供達の自覚がないと、おそらくこの問題は減少しないと思います。なので、これからは学生に対する携帯電話の危険を伝えることを強化することが最善だと思います。

 そしてもう一つ取り上げておきたいことは、「携帯電話依存症」というものです。依存症とはいっても精神医学分野で明確な研究は特に行われていないですが、とても恐ろしいものだと思います。ある番組で床に就くとき以外は四六時中携帯電話でメールの送受信している女性数名に、どのくらいの時間なら、携帯電話と離れて生活ができるのか実験したところ、数分で落ち着かない表情になり、十分経過したときには汗をかいたり、心拍数が上がったりしていました。二十分もすれば、まるで麻薬中毒者が麻薬を求めるように、彼女たちも携帯電話を懇願しました。渡したと同時にものすごい勢いでメールの送受信をしていました。この番組を観ていて、携帯電話ごときに精神の異常をきたしたりするのは、なんて愚かなのだろうと思う反面、他人事では済まされないような気がしてなりませんでした。本当に胸が痛むものです。

 「携帯電話依存症」になってしまうのは、その本人の意思も関係してくると思いますが、私はそれ以上に、携帯電話で誰かといつでもつながっていないと不安になってしまう人々がいるこの冷淡で疎外な現状をつくってしまった世の中が悪いと思います。

 人と直接会って、コミュニケーションをとる。これだけで温かい気持ちになれると思うんです。中学や高校という場は、友達が回りにいて、温かさを一番体感できる場所だと思います。それを、携帯電話で冷たいものにしてしまうのはもったいないです。悲しいです。ちょっと携帯電話を置いて、回りの人と接してみてください。携帯電話という目隠しで見えなかった何かが見えてくるはずです。

  今、人と人の間の温かさを感じる時です。

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