病院・診療科について宇宙飛行士の健康管理から学ぶ
「健康な生活を維持するための運動」

 人間の筋肉は、使わないと繊維が細くなり、筋力が低下していきます。 さらに、身体を支えるために必要な骨も運動をしないともろくなり、骨が折れたり潰れたりしやすくなります。 また、運動をしていないと、ちょっとしたことで疲れたり、息切れがするようになります。 普段の生活であまり身体を使わない、すなわち日常の活動量が低下すると、身体は衰えていきます。

宇宙飛行士のトレーニング

 重力に逆らって身体を動かすことは、地球という環境での生活に必要な身体機能を維持する上でとても大切です。 重力の働かない宇宙で過ごすと、急激に歳をとるといわれます。 宇宙飛行士の身体におこる変化は正確には加齢現象とは異なりますが、身体の衰えが進むことは事実で、宇宙飛行士たちは持久力トレーニングや筋力トレーニングを日々行なって身体の機能をできるだけ維持し、 地球への帰還に備えます。


改良型エクササイズ装置(ARED)で運動する 金井宣茂 宇宙飛行士
提供:JAXA/NASA

継続できる運動を取り入れて

 健康維持のためには、必要以上に筋肉を大きくする必要はありません。身体を屈めた姿勢から立ち上がるスクワットのような自分の体重を使った運動でも、正しいやり方をすれば十分な効果を期待できます。また、ジョギングやウォーキングなど、心拍数を高めるような運動も体力の維持向上には有効です。 少しきついかなと思うぐらいの負荷で行うことが良いとされています。新型コロナ感染症の影響で、ともすると家に篭ってしまいがちですが、身体を動かす習慣は継続していきたいものです。
 怪我をしたり、病気になったりしてしまった場合でも、治療とともに必要に応じてリハビリテーションを行い、横になって臥せている時間をできるだけ短くすることが大切です。 杏林大学病院リハビリテーション科、リハビリテーション室では、患者さんの身体機能の回復と日常生活への復帰をサポートしています。

2021年1月
杏林大学医学部付属病院 山田 深
リハビリテーション科 診療科長・教授
リハビリテーション室 室長
(宇宙航空研究開発機構(JAXA) 非常勤招聘 主任医長)