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大学ホーム国際協力研究科国際協力研究科からのメッセージ国際文化交流専攻

言語だけではなく言語の先にあるものが研究対象

 「国際文化交流専攻」では、学生の方には言語それ自体と向き合うとともに、言語の先にあるものを自分なりに見つけて研究してほしいと考えています。この専攻では、有効な国際協力活動を行うためには世界各地域の言語的・文化的特質を理解していることが必要不可欠であるという考えのもと、言語を機軸にしながら、我が国が世界の諸地域と築いていくべき関係のあり方について、特に社会形態、生活様式、風俗習慣、思想、信仰といった文化的な諸側面から考えていきます。そして、その研究成果を具体的に活用していくための方法論を検討していきます。本専攻では、日本語教師や通訳者、ジャーナリストなど、国際文化交流の場で活躍できる優れた人材の育成をめざしていますが、実際、現在も多くの修了生が日本語教師として世界各国で活躍しているほか、自国に帰って教職につく留学生も多く、教育機関で活躍する修了生が比較的多いと言えます。また、JICA、国際交流基金、国立国語研究所などの機関で活躍する修了生も増えています。

 「国際文化交流専攻」の学科目群には、言語文化の全体と詳細の把握をめざす「言語文化研究」、国際社会のなかの日本を改めて位置づける視点を培う「日本研究」、文化交流に関する専門的知識や実践的方法論の習得をめざす「文化交流研究」、国際社会にあって特に強い要請のある通訳・翻訳を担う人材の育成を目的とする「通訳・翻訳研究」の4分野が設けられており、学生は各分野の専門家から直接指導を受けることができ、自分の研究内容をより深めていくことができます。

広い視野と自分自身で物事を考える力を身につけてほしい

 私は「国際文化交流専攻」には、「日本語教師になりたい」「通訳になりたい」といった実践的ニーズに対応できるような職業訓練的なプラクティカルな要素も非常に重要だと思いますが、それと同時に、物事を自由に考える能力を養成していく要素も必要だと考えています。後者に関しては、特に現代日本においては情報が持つ力が強く、大きな声で発せられたものには流されやすい社会になっているため、広い視野を持ち、自分自身で物事を冷静に判断する能力の重要性が大きくなっているように感じています。

 例えば、外国製食品の安全性の問題や外国人の犯罪の問題などにおけるマスコミなどでの報道のされ方をみると、非常に傲慢かつ感情的な視点で一方的に伝えられるケースが増えていますが、私はこうした風潮を非常に残念なことだと思っています。最近では、イスラエルでも紛争が起こっていますが、こうしたことも根っこは同じで、ナショナリズムの問題に帰するものだと思います。このナショナリズムの問題は、近年世界各国で顕在化しているように思います。特に我が国では、明治以降、外国から新しい文化や技術、情報を取り入れるのには積極的でしたが、逆に自国の文化を海外に発信していくことには比較的消極的だったと言わざるをえません。また、外国の文化や情報は入れるのは良いけれど人を入れるのは嫌だという発想もいまだに根強いように思います。これからの若い人にはこうした反省を踏まえつつ、今後の我が国における国際化の必然性を十分に理解した上で、バランスの良い国際文化交流を実践していってほしいと思っています。そのためにはやはり、どこかでナショナリズムを克服していくことが必要になってくるでしょう。例えば、違うバックグラウンドを持った人と刺激しあうこと、そして違う視点から世の中や日本を見直してみること、そのことによって自分がいかに狭い視野の中で物事を考えているかということに気づくことで、私たちは視野を広げることができます。

身体的な知的活動を大事にする場にしていきたい

 現在では情報技術が発展し、インターネットで世界中の情報が手に入ると思っている人も多いかもしれませんが、現実というものを実際の肌感覚や空気で知ること、生身の人間とのコミュニケーションによって知ることは全く違います。そうした意味でも、この「国際文化交流専攻」では、より身体的な知的活動を大事にしていければいいなと思っています。

 ここでの学生の研究内容には、外国人に合わせて日本人が使う日本語「フォリナートーク」の研究や、日本に来ている留学生が思わず使ってしまう日本語の研究、最近若者の間で多用されている「だから」の代わりに「なので」を使う語法の起源と使用事例の研究、留学生による日本語と母語との対照研究など、非常に面白いものが多く、学生同士が刺激しあってお互いを高めあう場として機能しています。学問の究極の目的は、自分を発見することですが、ともに学びあえる仲間の存在も非常に重要です。その意味でも、本研究科はバラエティーに富み、面白い発想を持った学生が多く集まっていますので、学問をするにはとてもよい場所であると思います。

 これまでの人生経験をふまえて、ちょっと立ち止まってじっくりと物事を考えてみたいと思っているような人に来ていただきたいですね。そして、研究の場をともに豊かなものにしていってほしいと考えています。

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