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大学ホーム国際協力研究科国際協力研究科からのメッセージ国際協力研究科長

複雑な国際情勢に対して多角的なアプローチができる人材を育成

 杏林大学大学院国際協力研究科は、めまぐるしい動きをみせる世界情勢を踏まえながら、経済・社会、言語文化、保健医療面において、国際協力の場で活躍できる人材を育成しています。国際協力とは、複数の国家間の障壁を乗り越えて一つの目的のために尽力するという活動ですが、本研究科の学生には、欧米先進諸国との国際関係だけでなく、日本にとって身近な新興国や開発途上国が抱えている問題について積極的にアプローチし、それらの国や地域に対して我々は何ができるのかという観点から、さまざまなノウハウや技術を効果的に生かせる方法を研究していただきたいと考えております。その際に最も必要となるのは、多様な問題に対する理論的かつ実証的な分析能力と、正しい学識、的確な技能に基づく対応力だと考え、前期・後期それぞれの課程において学生の能力に応じた研究指導を行っています。

 博士前期課程では、複雑な国際情勢に対して多角的なアプローチをしていくことができる人材の育成をめざしています。法律、政治、経済を包含した社会科学、日本語、中国語、英語の言語に根ざした人文科学、生命、健康分野を核とする自然科学という、杏林大学の持つ3つの基盤を研究・教育のために複合したものが、本研究科の「国際開発専攻」「国際文化交流専攻」「国際医療協力専攻」「国際言語コミュニケーション専攻」の4専攻です。ここでは、専攻横断的な学習も可能であり、隣接分野の方法論や研究成果を学ぶことによって、俯瞰的な視野から現実的問題への理論的考察と実践的対応が可能な能力を修得できるようなカリキュラムが組み立てられています。

 博士後期課程では、博士前期課程を踏まえた上で、広い視野と独創的な発想、確かな技能をもって自らの研究を深め、開発途上国の経済発展に寄与できる人材を養成していきます。

さまざまな分野にまたがる研究が可能

 国際協力という研究領域は、国際情勢の変化とともに常に変動しています。また開発途上国側には、経済的・政治的・文化的に早く一定のレベルまで到達したいというニーズがありますが、その「一定のレベル」自体も、各々の国情により決して同一ではありません。まして、さらに高い水準をめざすとなると、解決しなければならない課題は、一層複雑なものになります。このような場合、個別の専門知識だけではなかなか対応が難しく、どうしても幅広い分野の知識や広い視野が必要となってきます。

 さらに、国際協力は一方通行的なものではありません。支援をする側にもメリットがないと持続的なものに発展していかないからです。その意味では、支援を受けた国の人々が支援をした国に対してより多くの関心を抱いて、将来の新たな国際関係の発展に結びつくような、効果的かつ発展的な意思疎通の方法を検討することも必要だと言えましょう。

 幸い、杏林大学の国際協力研究科は、総合政策学部と外国語学部を母体にして、開発途上国に対して政治、経済分野の支援の理論と方法論、その具現化を円滑に行うためのコミュニケーションを考えるところから出発し、その後、医学部、保健学部の持つ総合大学としての特長を加味した形で、領域を広げていった歴史があります。したがって、さまざまな分野にまたがる国際的なニーズとも合致した研究が可能な場になっていると自負しております。

自国の文化への深い理解と広い意味での人間力を培ってほしい

 特にわが国は、古くは中国や朝鮮半島から文化を学び、欧米の技術を吸収した明治時代を経て、終戦後にはアメリカの文化を取り入れてきましたが、中国や欧米のものを積極的に取り入れながらも、日本流の文化を育んできた歴史を持っています。その意味で、支援相手国の文化的なものを理解した上でそれぞれの国にフィットした支援のあり方を考えていくことに関しては、頗る優れた感覚を持ち合わせているかもしれません。ただ、近年気になるのは、自国の文化を理解していない人が多いという点です。これは戦後における教育の欠点でもあるかもしれません。学生にはぜひそのことを自覚するとともに、自国の文化を知ることが国際協力を円滑なものにしていくことにつながることを忘れないでほしいと思います。

 国際協力という領域を研究していくためには、それぞれの専門分野における深い学識や技術だけではなく、それらを超えた学際性や多様性、柔軟性、さらには、優れたコミュニケーション能力や相互理解の能力など、広い意味での人間力というものが必要となってきます。国際協力研究科には、それらに十二分に対応できるよう、幅広い分野から教授陣が結集しており、関連分野の有機的な連携のもとで、激しく変化する国際社会に敏感かつ柔軟に対応した多彩な研究が行われています。また、実務経験のある社会人学生や留学生なども多く、互いに高め合うことができる場となっています。国際協力の分野での活動や研究を志す方々は、本研究科で学ぶことによって、必ずや大いなる収穫を手にできるものと確信しています。

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