平成17年度決算報告
本学校法人の平成17年度決算が、平成18年5月29日に開催された理事会・評議員会において承認されましたので学校法人会計基準に定めている計算書類、資金収支計算書総括表(表1)、消費収支計算書総括表(表2)、貸借対照表(表3)の概要をご説明いたします。
- 結 論
- 1)資金収支の状況(表1参照)
主に収入面では、学納金収入は平成17年度より保健学部、総合政策学部、外国語学部の学費改定を行ったが入学定員超過率の抑制、また在学生の退学者の増加もあり前年度より減少した。
補助金収入は私立大学等経常費補助金収入の内、大学院高度化推進特別補助金が前年度に比べ大幅に減少となった。一方、医療収入は入院患者数の増加、特定機能病院における医療機関別包括評価(DPC)係数が上がったことなどにより、前年度より2.7%増加となった。
支出面では、人件費は看護師の欠員等による補充、医療経費は主に中央病棟開設に伴う消耗品、薬品費、診療材料費等が増加となり、医療経費全体では前年度より8.4%増加となった。
また、施設・設備関係支出には主に中央病棟建設・設備費及び新外科病棟建設費の着手金を計上しているが、この資金は前年度に調達した借入金63億から支出したことから、次年度繰越支払資金(平成17年度末現預金)は前年度末より58億4千万減少となった。(表1)資金収支計算書総括表
収入の部 (単位:百万円) 科 目 17年度 16年度 増 減 学生生徒等納付金収入 7,964 7,990 △ 26 手数料収入 410 449 △ 39 寄付金収入 541 565 △ 24 補助金収入 2,013 2,131 △ 118 資産運用収入 507 457 50 資産売却収入 2,002 3 1,999 事業収入 283 321 △ 38 医療収入 22,448 21,853 595 雑収入 439 464 △ 25 借入金等収入 0 6,300 △ 6,300 前受金収入 1,313 1,331 △ 18 その他の収入 4,800 5,131 △ 331 資金収入調整勘定(△) △ 5,152 △ 4,799 △ 353 前年度繰越支払資金 18,828 13,297 5,531 資金収入の部合計 56,396 55,493 903 支出の部 (単位:百万円) 科 目 17年度 16年度 増 減 人件費支出 15,812 15,241 571 教育研究経費支出 2,238 2,126 112 医療経費支出 11,926 11,004 922 管理経費支出 2,857 2,905 △ 48 借入金等利息支出 458 385 73 借入金等返済支出 1,052 444 608 施設関係支出 2,019 3,063 △ 1,044 設備関係支出 3,403 839 2,564 資産運用支出 2,673 1,409 1,264 その他の支出 3,736 2,893 843 資金支出調整勘定(△) △ 2,766 △ 3,644 878 次年度繰越支払資金 12,988 18,828 △ 5,840 資金支出の部合計 56,396 55,493 903 - 2)消費収支の状況(表2参照)
帰属収入では、学納金、寄付金、補助金が減少したが医療収入の増加により収入全体では前年度より増加となった。
消費支出では、教育研究経費、管理経費が減少したが人件費、医療経費が増加となり支出全体でも前年度より増加となった。
平成17年度の帰属収入は前年度より2億5千7百万(0.7%増)増加となり、一方、消費支出は前年度より14億4千7百万(4.0%増)増加する結果となった。
従って、当年度の収支差額(帰属収入−消費支出)は30億5千6百万の支出超過となり、基本金組入後の当年度消費収支差額(消費収入−消費支出)は52億9千7百万の支出超過となった。(表2)消費収支計算書総括表
消費収入の部 (単位:百万円) 科 目 17年度 16年度 増 減 学生生徒等納付金 7,964 7,990 △ 26 手数料 410 449 △ 39 寄付金 601 751 △ 150 補助金 2,013 2,131 △ 118 資産運用収入 507 457 50 資産売却差額 2 0 2 事業収入 283 321 △ 38 医療収入 22,448 21,853 595 雑収入 445 464 △ 19 帰属収入合計 34,673 34,416 257 基本金組入額(△) △ 2,241 △ 1,955 △ 286 消費収入の部合計 32,432 32,461 △ 29 消費支出の部 (単位:百万円) 科 目 17年度 16年度 増 減 人件費 16,004 15,536 468 教育研究経費 3,868 3,929 △ 61 医療経費 13,793 12,746 1,047 管理経費 3,531 3,576 △ 45 借入金等利息 458 385 73 資産処分差額 49 87 △ 38 徴収不能額 26 23 3 消費支出の部合計 37,729 36,282 1,447 当年度消費支出超過額 5,297 3,821 前年度繰越消費支出
超過額38,997 35,176 基本金取崩額 476 翌年度繰越消費支出
超過額43,818 38,997 - 3)貸借対照表の状況(表3参照)
財政状況は、前年度末より総資産額は減少となったが、負債総額も減少となった。
自己資金(正味資産)は平成17年度末で30億5千6百万の減少となった。
資産の主な減少は現金預金で中央病棟などの建設、設備費を前年度に調達した借入金を充当したこと、負債の減少は借入金の返済及び未払金の減少で前年度には中央病棟建築費の最終代金を計上した。自己資金は消費収状況(帰属収支差額)がマイナスとなった影響で減少する結果となった。(表3)貸借対照表 平成18年3月31日
(単位:百万円) 資 産 の 部 科 目 17年度末 16年度末 増 減 固定資産 69,605 69,054 551 有形固定資産 61,178 59,970 1,208 その他の固定資産 8,427 9,084 △ 657 流動資産 17,501 22,845 △ 5,344 現 金 預 金 12,988 18,828 △ 5,840 未 収 入 金 3,943 3,575 368 その他の流動資産 570 442 128 資産の部合計 87,106 91,899 △ 4,793 (単位:百万円) 負 債 の 部 科 目 17年度末 16年度末 増 減 固定負債 25,637 26,866 △ 1,229 長期借入金 20,056 21,477 △ 1,421 退職給与引当金 5,581 5,389 192 流動負債 5,505 6,013 △ 508 短期借入金 1,137 767 370 未払金 2,645 3,532 △ 887 その他の流動負債 1,723 1,714 9 負債の部合計 31,142 32,879 △ 1,737 基本金の部 基本金 99,782 98,017 1,765 消費収支差額の部 翌年度繰越消費支出超過額 △ 43,818 △ 38,997 △ 4,821 負債・基本金・消費収支差額の部合計 87,106 91,899 △ 4,793
- 1)資金収支の状況(表1参照)
- 今後の対応
以上のように、平成17年度の決算は資金面では中央病棟建設・設備費などの支払で前年度末より減少となり、経営面では帰属収支差額が大幅にマイナスとなる大変厳しい結果となった。主要財源の一つである医療収入は中央病棟の開設(17年6月)、医療機関別包括評価(DPC)係数が上がったことなどで前年度より、5億9千5百万、率で2.7%増加したものの学納金、補助金は減少となった。支出面では教育研究経費、管理経費が減少となったが人件費、医療経費が増加し特に医療経費全体では10億4千7百万、率で8.2%の増加となった。(主な増加科目、消耗品5億、薬品費1.5億、診療材料費1.5億)また、施設、設備の維持、管理費や業務委託費等を含めた委託費全体では2億7千6百万、率で6.2%の増加となった。
具体的には
収支改善には、「収入を伸ばし、支出を抑える」ことは言うまでもありません。しかし本学の収入源は限られています。一方、支出は教職員の人件費、施設、設備の維持、管理費など、その多くが固定的です。支出を抑えるには、この財政面に大きく影響を及ぼす消費支出(人件費、教育研究経費、医療経費、管理経費)を更に見直していくこと、そして、流動経費(消耗品、光熱水費、旅費交通費等)を削減、節減していくことが必要です。
また、予算面では適切な予算編成、予算管理、予算執行状況の把握が十分にできていないため、今後はリアルタイムに予算管理、予算執行、収支状況を改善するためシステムの見直しと再構築を図っていく所存です。
平成18年度は新外科病棟建設費に多額の資金が必要となります。平成18年度も厳しい財務状況ではあるが、できる限り教育、研究の向上に努め、診療機能の充実を図っていく方針である。 教職員皆様方のご理解、ご協力をお願いいたします。
- 1.収入面では
- [1] 寄付金の募集活動
- ・予算に計上した目標額の達成に全力を尽くす。
- ・関係部署と連携をとり募集活動を定期的に行う。
- ・奨学寄付金は積極的に外部資金を獲得するよう各教室、関係部署等を通じて協力を要請する。
- [2] 委託研究費の獲得 ・外部資金を獲得するよう各教室、関係部署等を通じて協力を要請する。
- [3] 施設設備利用料の獲得 ・借り上げ寮の入居率100%を目標に管理を委託している(株)ケイ・アール・ロジスティックスと連携を密にして支障のない限り入居率を上げる。
- [4] 補助金の獲得
- ・私立大学等経常費補助金の見直しを図る。調整係数を上げることで補助金収入の獲得を目指す。
- [1] 寄付金の募集活動
- 2.支出面では
一般経費:医療経費、管理経費を中心に硬直化している経費を見直し支出削減を図る。
- [1] 医療消耗品、診療材料費
今後も値引き率を上げる交渉を、関係部署と連携をとり目標数値を持って業者交渉を行なう。 - [2] 薬品費
ジェネリック薬品の導入をする。 - [3] 修繕費
緊急性、必要性を検討した項目を優先する。 - [4] 委託費
平成18年度の施設設備保守、清掃委託等の自動更新契約を取止め、見直しを図り、改めて契約(値引き率を上げる)交渉を行うことで年間契約金額の削減を図る。
- [1] 医療消耗品、診療材料費
- 1.収入面では
- 消費収支計算書を企業会計的に置き換えて見た場合 表4参照
- 1)説明
学校法人は利益追求を目的としていないため、学校法人会計基準に基づいて作成された計算書は、大変、解りづらいものとなっています。この計算書は企業会計的に加工して作成したもので、企業では経営成績を示す計算書となっています。どこの部門で利益が上がったのか、赤字となってしまったのかを検証して分析をすることで、その原因を探り、収支改善を図っております。
(表4)消費収支計算書を企業会計に置き換えて見た場合
(単位:百万円) 科目 17年度決算 16年度決算 増減 [1]売上総収入 30,695 30,164 531 学生生徒等納付金 7,964 7,990 △ 26 事業収入 283 321 △ 38 医療収入 22,448 21,853 595 [2]一般管理費 37,196 35,787 1,409 人件費 16,004 15,536 468 教育研究経費 3,868 3,929 △ 61 医療経費 13,793 12,746 1,047 管理経費 3,531 3,576 △ 45 [3]営業利益([1]−[2]) △ 6,501 △ 5,623 △ 878 [4]営業外収益 3,978 4,251 △ 273 手数料 410 449 △ 39 寄付金 601 751 △ 150 補助金 2,013 2,131 △ 118 資産運用収入 507 456 51 雑収入 445 464 △ 19 資産売却差額 2 0 2 [5]営業外費用 533 494 39 借入金利息 458 385 73 資産処分差額 49 86 △ 37 徴収不能額 26 23 3 [6]営業外収支([4]−[5]) 3,445 3,757 △ 312 [7]経常利益([3]+[6]) △ 3,056 △ 1,866 △ 1,190 - 2)科目の説明
- [1]売上総収入
本来、売上総収入から仕入れ(材料費等)を除いた額の売上総利益を計上することになるが、学校法人では仕入れに該当する算定は困難のため本表では、仕入れ(材料費等)は一般管理費に計上し、ここでは売上総収入とした。
(本表では…学納金、事業収入、医療収入) - [2]一般管理費
人件費及び一般諸経費を示すもの。(減価償却額を含む。)
(本表では…人件費、教育研究経費、医療経費、管理経費) - [3]営業利益
企業の営業活動の成果を表し、営業損益の利益を示すもの。
- [4]営業外収益
営業活動以外の原因に基づいて生じる収益で、かつ経常的に発生するもの。
(本表では…手数料、寄付金、補助金、資産運用収入、雑収入) - [5]営業外費用
営業活動以外の原因に基づいて生じる費用で、かつ経常的に発生するもの。
(本表では…借入利息、資産処分差額、徴収不能額) - [6]営業外収支
営業外収益から営業外費用を差し引きする。
- [7]経常利益
企業が日常的、継続的に行う営業活動と営業外活動との成果を表し、企業では経営成績を示すもの。
- [1]売上総収入
- 3)本表の説明 平成17年度の[1]売上総収入は306億9千5百万円、[2]一般管理費は371億9千6百万円となり[3]営業利益([1]−[2])は65億百万円の赤字となりました。一方、この赤字をカバーする[6]営業外収支([4]−[5])では34億4千5百万の黒字となりましたが[7]経常利益([3]+[6])では30億5千6百万円の赤字決算となりました。上述のように、平成18年度は営業利益を上げることに積極的に取り組み、また、営業外収益の獲得にも全力をあげて努力していかなければなりません。教職員皆様のご協力をお願いします。
経理課長 冨樫憲弥
- 1)説明