下部消化管外科研修医に向けて
1.教育プログラムと取得可能な資格
① 教育プログラム
✔ 基本方針:大学病院の臓器別専門診療と市中病院の一般外科診療の融合
✔ 卒後3年目(後期研修医1年目)は消化器・一般外科のみでなく、小児外科、呼吸器外科、乳腺外科、心臓血管外科、救急医学(ER)をローテーションし、外科専門医に必要な臨床経験を全て取得します。この臨床経験はすべて本院内の修練でまかなうことができ、すでに初期研修医の段階で経験済みの診療科は免除されます。
✔ 卒後4・5年目の2年間と8・9年目のうちの1~2年間は関連病院へ出向し、約80~100件/年の手術を術者として経験します。
主な出張研修病院:佼成病院、東京都健康長寿医療センター、聖隷浜松病院、東京逓信病院、関東労災病院、公立昭和病院、結核予防会複十字病院、多摩北部医療センター、小山記念病院
✔ 卒後10年目前後のうち1年間はチーフレジデントとしてチーム全体の診療のマネジメントを行います。
✔ チーフレジデント終了後は以下の選択があります。
1. 各臓器別にサブスペシャリティを選択
2. 専門臓器を選択せず、上部消化管、下部消化管、肝胆膵をローテーション
3. 関連病院へ出向
② 取得可能資格
✔ 各専門医審査の際に必要な論文は、スタッフの指導で容易に作成可能です。
✔ 教室には内視鏡外科学会技術認定医、肝胆膵外科高度技能専門医のビデオ審査を担当している指導医が在籍しており、その指導を日常的に受けることができるため、とくにビデオ審査などがある専門医の取得にはきわめて有利です。
2.診療体制
✔ 3チーム構成で上部消化管班、下部消化管班、肝胆膵班を4か月ごとにローテーションします。各チームはチーフレジデントを終えたポストチーフ(2~3名)、チーフレジデント、チーム員(2名)、後期レジデントで構成されます。
✔ 手術件数は900~1000件/年で緊急手術が200~250件/年と多く、救急疾患に対する対応力が身につきます。
✔ 内視鏡検査・治療も豊富で内視鏡手技が取得でき、内視鏡ができる外科医になれます。
✔ 教室のカンファレンスはすべて朝に行われるので、午後は手術や病棟業務が終了すれば帰宅可能です。
✔ ほかにも1回/月程度、消化器内科・腫瘍内科・放射線科・病理との合同カンファレンスがあります。
3.待遇
大学当直は4~5回/月で、原則上級医と初期研修医と3人態勢です。 その他、外勤(週1回の日勤・当直、月1回の土日当直)があります。 “外勤先でもいろいろな手技を学びたい”という先生もいれば、“外勤先ではのんびりしたい”、“給料は少なくてもいいから、外勤は少なくしたい”など、個々の先生の希望に沿うような勤務体系を提供しています。
4.女医支援
教室には多くの女性外科医も在籍しています。杏林大学には出産育児期間は、通常よりも負担の軽い勤務(3日/週or4日/週勤務、当直免除)を可能とする『女医復帰支援枠』というシステムがあります。 また、それぞれのライフスタイルによって、適応する勤務を提供します。 例えば、“研究・臨床もバリバリやりたい”“内視鏡を中心にやりたい”“負担の少ない関連病院で、それなりに手術もしたい”など、可能な限り対応します。
5. 学位取得(大学院)
① 学位は論文学位と大学院進学のいずれも可能ですが、多くは大学院進学を選択します。臨床系教室の中では大学院生の数は最も多く、現医局員の約40%が大学院で学位を取得しています。
② 入局すればどのタイミングでも大学院進学は可能です。多くは後期研修終了後とチーフレジデント終了後に進学します。
③ 原則、社会人大学院として入学するので、その間の収入が減ることなく、健康保険と共済年金も受けられます。
④ 在学期間4年間のうち、2年臨床、2年研究となります。
⑤ 研究内容
✔ 希望に沿った研究テーマを選べ、希望がなくとも適したテーマを提供します。
✔ 学内留学(臨床検査医学、病理学、等)や国内留学(現在は国立がん研究センター研究所がん分子就職制御学分野。過去には東京女子医大統合医学研究所、東京大学医科学研究所ヒトゲノムセンター、東京理科大学生命科学研究所)も可能です。