病院・診療科について目が疲れる

 目の疲れを感じたことがない方はいないと思います。長い時間歩けば足が棒になるのと同じで、目を酷使して疲れたというのは自然なことです。しかし、日頃それほど目の負担が強くない状況でも疲れがひどい場合、日常生活や仕事、学業に支障がある状態を眼精疲労と呼びます。
 眼精疲労の原因で一番多いのは屈折異常と老視です。合わない眼鏡をかけている場合や細かい文字が見にくいのを我慢している場合で、目が自慢だったひとにも意外に多いパターンです。
 視力が1.5というひとは軽い遠視(潜伏遠視)のことが多く、若い頃は良いのですが、早くから近業が負担になり、そのうち遠くも見にくくなってきます。
 また、斜視や斜位も眼精疲労の原因になります。斜位は潜在的な両眼の視線方向のずれを調整している状態で、外見ではわかりませんが本人の目の負担は大きくなります。程度によりますが眼鏡にプリズムを組み込むことで負担を減らすことができます。
 このように眼精疲労の多くは眼鏡を作ったり、調整したりするだけで驚くほど症状を改善することができます。

 もう1つ最近、眼精疲労の原因として注目されているのがドライアイです。ドライアイには環境要因が大きく、パイロットはフライト中に75%以上が目の乾燥感を訴えるといいます。乾燥した機内で目と神経を使い続けるためと考えられ、長時間のドライブでも目が乾きがちになります。
 エアコンが効いた屋内でのスマホやPCも悪条件です。空気の乾燥、風に加えて、凝視すると瞬きの頻度が半分以下に減ることが眼の乾燥の誘因です。
 目の表面が乾くと、不快感とともに見えにくさが生じて、眼精疲労に繋がると考えられています。重症例はともかく、多くのドライアイは周りの環境に配慮すること、意識的な瞬きを心がけること、時どき点眼薬を使うことで、ずっと症状を軽くすることができます。
 ほかにも目の疲れには様々な原因があり、緑内障など失明に繋がる疾患が隠れていることもあります。目の疲れが気になるひとは一度、眼科を受診されてはいかがでしょうか。

(山田 昌和:杏林大学医学部付属病院 眼科アイセンター 教授)

杏林大学新聞 第13号より抜粋