病院・診療科について脊柱変形(側弯症、腰曲がり)

 背骨が曲がる病気、側弯症や腰曲がりなどをご存じでしょうか?
 体の芯を支える背骨が様々な方向に曲がってしまう病気です。背骨自体が曲がってしまう状態を脊柱変形と呼びますが、大きく分けると若い人と高齢者の脊柱変形があります。

若い人の側弯症

 10代など若いひとに起こることが多い脊柱変形は、正面から見てS字状に左右に曲がる“側弯症”という病気です。その中で最も多いのは特発性側弯症とよばれるもので、いまだ原因は明らかではありませんが思春期の女子に多く見られることが特徴です。
 治療は年齢や側弯症の程度により異なりますが、経過を見るだけの場合から、コルセットのような装具を使用する場合、悪化し側弯の程度(コブ角と呼びます)が40-50度くらいになると変形を矯正する手術が必要になる場合もあります。
 運動器学校検診の調査項目にもなっており、背中からみて肩や肩甲骨の高さ、ウエストラインに左右差が生じたり、前かがみになると背中や腰のもりあがりに左右差が出たりすることで疑われることがあります。ご自宅でも簡単にできますので気になる方は確認してみるとよいでしょう。

高齢者の腰曲がり

 ご高齢の方にも脊柱変形が生じます。この場合、正面からみて左右に曲がる側弯と、横から見て腰の反りがなくなり体全体が前に傾いてしまういわゆる腰曲がり(後弯症)が起こりえます。特にご高齢の方で多いのは後者です。背骨を構成する骨や椎間板(骨の間のクッションのような組織)が加齢に伴い傷む、骨自体が骨折などにより変形するなどにより起こるとされています。 腰が痛い症状に加えて体が前傾してまっすぐ立った姿勢を長く維持できない、膝を曲げて腰を落とさないとまっすぐ立てない、手を太腿についたり支えがないと歩けないなどが自覚症状になります。

 

治療法

 治療は薬剤やリハビリによる保存治療をする場合もあれば、症状が辛く日常生活に大きな支障があるようなら変形を矯正する手術を検討する場合もありますが、画像診断や治療方法の選択には専門的な判断が必要ですので、該当するかもしれないと思われる方は脊柱変形の専門医を受診するとよいでしょう。



2020年12月
杏林大学医学部付属病院 整形外科 診療科長・教授 細金直文