1日でも早い機能回復、
社会復帰を目指した脳卒中治療を

脳の血管が詰まったり(脳梗塞)破れたり(脳出血やくも膜下出血)することで、脳が障害を受ける病気、脳卒中。
脳卒中は日本人の死亡原因の4位、そして寝たきりになる最大原因でもあります。
「一人でも多くの脳卒中患者さんを救いたい」
その想いを胸に、脳卒中専門診療チームで治療とケアにあたっています。
患者さんが1日でも早く、機能回復・社会復帰できるよう、全力でサポートします。

1日でも早い機能回復、
社会復帰を目指した
脳卒中治療を

脳の血管が詰まったり(脳梗塞)破れたり(脳出血やくも膜下出血)することで、脳が障害を受ける病気、脳卒中。
脳卒中は日本人の死亡原因の4位、そして寝たきりになる最大原因でもあります。
「一人でも多くの脳卒中患者さんを救いたい」
その想いを胸に、脳卒中専門診療チームで治療とケアにあたっています。
患者さんが1日でも早く、機能回復・社会復帰できるよう、全力でサポートします。

数字で見る
当院の脳卒中治療

  • 402

    年間で治療した脳梗塞患者の人数(2022年)

  • 1.5時間

    脳梗塞患者さんが救急車で搬送されてから、
    血管のつまりを解消するまでの平均時間

  • 平均1

    患者さんが病院に運ばれてから
    リハビリテーション開始までの日数。
    機能回復のため、脳卒中発症の翌日から
    リハビリテーションを実施しています。

脳卒中センターって
どんなところ?

脳卒中センターは、多摩地区の中心的治療センターとしての役割を担っており、脳卒中科、脳神経外科、リハビリテーション科が共同参画し、診療科横断的に運営しています。

24時間体制

超急性期の脳梗塞や脳出血に対する高度先進医療を24時間体制で提供しています。

脳卒中専門診療チーム

脳卒中専門診療医に加え、専門看護師、理学療法士、作業療法士、言語療法士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーで1つのチームとなり、多方面から患者さんの治療とケアにあたっています。

脳卒中専門病棟

専門病棟で脳卒中発症翌日からリハビリテーションを実施し、患者さんの早い回復をサポートしています。

初期治療が早ければ早いほど、
回復が望めます

脳卒中のサインは見逃さず、
すぐに受診を

脳卒中センター長、脳卒中科診療科長、
日本脳卒中学会 理事 /教授 平野照之
一分一秒を争う病気です

脳卒中は、本人もその周囲の人も気がつかず、様子をみている間に症状が悪化し手遅れになるケースも稀ではありません。脳卒中の症状は急に現れることが多く、症状は一般的に「体の半分だけ」に出現するという特徴があります。左右どちらか半分だけに運動や感覚の異常が急に出た場合には、脳卒中のサインかもしれません。脳卒中は、1分1秒を争う病気です。初期治療が早ければ早いほど、その後の悪化を防ぎ、回復も望めます。「もう少し様子を見てからにしよう」と受診をためらわず、異常を感じたらすぐに専門の診療科に相談してください。

予防できる病気です

脳卒中の主な原因は動脈硬化です。そして、動脈硬化の要因は高血圧症、高脂血症、糖尿病、喫煙などです。つまり、生活習慣を見直せば脳卒中を予防できるのです。日頃から、血圧のコントロール、塩分や脂肪控えめな食生活、禁煙、節酒、肥満の解消、適度な運動などを心掛けて生活しましょう。また、脳卒中の早期発見には、脳ドックも有効です。脳ドックでは、将来的に脳卒中を起こす危険度を把握でき、予防策をとることができます。

脳卒中ってどんな病気?
<脳卒中とは>
脳の血管が詰まったり破れたりすることで、脳に血液が届かなくなり、脳の神経が障害される病気です。脳卒中には、脳の血管が詰まる「脳梗塞」、血管が破れる「脳出血」、動脈瘤が破れる「くも膜下出血」、脳梗塞の症状が短時間で消失する「一過性脳虚血発作(TIA)」の4つがあります。
脳卒中は後遺症が残ることも多く、寝たきりなどの要介護状態となる最大の原因です。
<脳卒中の症状>
脳梗塞、脳出血
・半身(顔、上肢、下肢)の脱力感
・半身のしびれ
・言語障害(ろれつが回らない、言いたいことが言えない)
・視野障害
・めまいと平衡障害(バランスが取れずうまく歩けない)
くも膜下出血
・これまでに経験したことのないような突然の激しい頭痛
・しばしば意識障害、嘔気・嘔吐を伴う

高度医療を駆使し、
迅速な判断と
治療選択
で患者さんを救う

治療開始が1分遅れると190万の脳神経細胞が失われるという程、脳卒中では迅速・的確な治療法の判断、実施が大切となります。そのため当院では、高度医療を駆使し、正確な病状把握・的確な治療選択を行っています。

共同開発したシステムで的確な治療を選択

脳卒中センターが医療機器メーカーと共同開発した、脳梗塞のCT画像を詳細に解析するVitrea ®システムを診断に活用しています。これは、高性能なCTで脳梗塞によって脳の血流が滞った範囲を把握してから(図1.A)、このシステムで解析することで、回復が見込める脳の範囲(図2.B)が短時間で推定されます。この結果を生かし、迅速に治療を進めることができます。
現在、人工知能(AI)で、より高精度の画像解析結果を学習して導き出す、ディープラーニング機能の共同研究も実施されています。

機能回復を早める
脳卒中専門病棟
(SCU病棟)でのリハビリ

一般的に、リハビリテーションは患者さんの容態がある程度落ち着いてから実施される傾向にあります。しかし、機能の早期回復のためには、できるだけ早い時期からリハビリに取り組むことが鍵となります。
当院では、発症翌日からリハビリテーションを実施しています。それが実現できるのは、専門病棟で看護師や理学療法士など多職種の専門スタッフがチームとなり、注意深く患者さんの様態を見守り、病状の度合いに応じた適切なケアを行う体制を整えているからです。

脳卒中専門病棟(SCU病棟)
だからこそ
できるケアがあります

患者さんの数ヶ月先の生活を見据えたケアを提供しています

脳卒中リハビリテーション看護 認定看護師

脳卒中の発症から2週間は特に、重篤化を防ぐための病状観察をつぶさに行いながら、ケアを行うことが必要です。そのため専門性の高い看護師が病棟でケアをしています。毎日多職種のチームで容態の情報共有やケアの方針について打ち合わせを行い、現在の容態から、数ヶ月後の生活を予測しながら、不安などを抱える患者さんに寄り添った看護と機能回復サポートを行っています。

『ありがとう。今度は歩いてくるからね』と患者さんからいただいた言葉が励みに

理学療法士

患者さんの多くは、運動麻痺や高次脳機能障害などにより、日常動作が急にできなくなり、大きなストレスを感じます。そのためリハビリの中では、“少しでもできた”、“昨日よりできた”を見つけ、患者さんが目標をもって取り組めるように努めています。
少しずつ立ち上がり、歩く練習ができるようになった患者さんが、「ありがとう。今度は歩いてくるからね」と転院し、その後、徒歩で元気な姿を見せてくれた時は、一緒に頑張れて本当によかったなと思いました。

病棟専属の利点を生かしたチームケア

作業療法士

医師や看護師等多職種のチームで、定期的に患者さんの容態を情報共有し、ケアやリハビリの内容等を打ち合わせます。また、病棟専属のため、看護師等が行っている介助に即した、食事やトイレ動作などの日常生活動作(ADL)の練習を行いやすい利点があります。
時につらく感じるリハビリを患者さんが明るく前向きに頑張れるよう、配慮を心がけています。

食事と言語、2つの機能改善をサポート

言語聴覚士

摂食嚥下障害は急性期脳卒中患者の約50%に見られます。患者さんの状態は日々大きく変化するため、医師や看護師、栄養士等とチームで患者の状態を把握し、栄養が摂取できるようになるための適切な訓練法などを検討、実施しています。
また、言葉障がいが生じる患者さんも多くいるため、舌を動かす訓練や言葉を想起する訓練などを行い、コミュニケーション能力の改善支援を行っています。
重度の障がいが生じていた患者さんの機能が回復した時は、特にやりがいを感じます。

退院後の療養生活を見据え、ご家族も含めた支援を行っています

医療ソーシャルワーカー

突然の病気によって、患者さんやご家族は社会的・経済的な不安や課題を抱えてしまいます。それに対し、活用できる助成制度や福祉制度の情報を提供したり、必要に応じて手続きの支援等を行っています。
また、治療方針に合わせた転院先の紹介や、地域関係機関と連携して在宅療養のサポートを行います。ご家族から「課題を抱え込まずに、もっと早く相談すればよかった」という言葉をいただくこともあります。

脳卒中で苦しむ患者さんや
そのご家族を減らしたい

多摩地区の中心的医療センターとしての役割

杏林大学病院含む13の医療機関が連携

多摩地区医療ネットワーク
多摩地区ネットワークで迅速な対応

東京23区と比較すると、多摩地区には重度の脳卒中患者を治療できる病院が3分の1ほどしかありません。また、脳卒中専門医も20人ほどしかいません。そのため、人口400万人超の多摩地区を支えるためには、地域医療機関との連携が必要不可欠です。
1分1秒を争う脳卒中患者さんを救うため、当センターは、13の医療機関の中核として「多摩地区ネットワーク」を形成しています。救急隊と連携しながら、緊急時に即座に対応できる医療機関・医師の状況を常に把握し、効率的な緊急搬送を実施できるよう、体制を整えています。