栄養部食事が提供されるまで
~ニュークックチルシステムを導入~
患者さんのお食事を調理している厨房は、平成19年8月に免震構造の外科病棟の新築に伴い新設されました。厨房は、地下1階にある面積1,613㎡の広さに、オール電化厨房の最新設備を備えています。栄養部では、『食事の安全性』『食事サービスの充実』をモットーに“ニュークックチルシステム”を取り入れた新しい方法で食事の提供をしています。1日の平均食数は2,100食で食事の種類も200近くあります。また、安全な食事を提供するために『集中温度管理システム』を導入し、調理から配膳まで調理の温度と時間を計測、確認、記録しています。
ニュークックチルとは
安全な食事を提供するために“食事は加熱調理後2時間以内に喫食すること”という取り決めがあります。そこで当院では、ニュークックチルシステムを導入しました。
『ニュークックチルシステム』とは、加熱調理したものを直ちにチルド状態に冷却し、そのまま保存しておきます。チルドのまま盛りつけ、お盆に一人ずつセットしてから再加熱カート(配膳車)に入れ、カートの中で温かい料理は温められ、冷たい料理はそのまま冷たい状態で提供されます。このシステムの導入により、最終的な調理加熱後、2時間以内に、安全で温かい食事を提供することが可能になりました。また、味付けも一度冷やすことにより食材の中まで平均に味が染み込み、同じ食塩量でもおいしく感じられるようになりました。
調理・配膳風景
食材は洗浄、消毒された後に下処理(写真1)され、調理されます。調理の多くは焼く、煮る、蒸すなどの機能を備えた“スチームコンベクションオーブン”(写真2)で行います。加熱調理されたものは直ちに冷却され、チルド庫に保管(写真3)されます。
写真1 |
写真2 |
写真3 |
お食事はコンベアで一人ずつお盆にセット(写真4)され、食札どおりに盛りつけられているかなど確認(写真5)しながら、再加熱カート(写真6)にセットしていきます。加熱調理は再加熱カートの中で120℃の熱風で加熱されます。サラダなどはクックサーブとし、5℃の冷風で冷やします。このカートは国産品として初めて開発されたものであり、密閉されたカートの中で最終的に加熱処理されますので、食事の安全面からみても最適な方法で食事提供されています。加熱後最終的な確認(写真7)を行い、各病棟へ搬送(写真8)します。
写真4 |
写真5 |
写真6 |
写真7 |
写真8 |
食器のいろいろ
食器も再加熱をしても乾燥しないように材質や形を工夫し、色調も明るいデザインのものを使用しています。
嗜好調査結果
ニュークックチルの導入により、従前の提供方法と比較して、提供温度が、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく提供できるようになり、よりお食事が美味しくなったと、喜びの声も聞かれるようになりました。
入院患者さんを対象に行った昨年度の嗜好調査の結果では、「温度」については約9割の患者さんが、「味付け」については約8割の患者さんが、『満足』『やや満足』『普通』とご回答されております。