私のライフワークは、自己決定権の視点から医療をめぐる法律問題を考察することです。とくに、在外研修から帰国以降この10年ほどは、国や自治体のプレホスピタルケアに関する委員会や研修会に参加する機会を与えられるようになったことを契機として、病院前救護や救急医療、集団災害等をめぐる法律問題に焦点を絞って考えるようになりました。的確・適正なプレホスピタルケアがなされるような法令整備の必要性を訴えるとともに、傷病者や患者の自己決定権に配慮しながら危機管理としての法律学の視点から病院前救護等の現場で生じる諸問題について論じることにより、安心・安全な市民生活が確保できるものと考え研究を進めているところです。最近、マスコミ等で救急搬送や救急需要対策について盛んに報道されるようになってきましたが、これまで法律学専攻者にとって殆ど関心のなかった未開拓な分野なので、やりがいを持って研究に励み、機会あるごとに論稿を積極的に発表しています。傷病発生から、応急手当、搬送、医療機関到着後の医療行為という時系列に沿って考えるだけでも種々の問題が存在していることに気づきます。こうした問題について、関心のある若い方々と一緒に勉強できればと願っています。
また、大学院における教育面では、判例の読み方等法律を学ぶにあたって不可欠な基礎知識、論文の書き方、資料収集の方法、註の付け方等基本的な作法について、相当な時間を割いて演習し、徹底的に指導するようにしています。