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国際文化交流専攻 今泉喜一教授

(日本語)文法を化学のような科学にしたいと思います

国際文化交流専攻 今泉喜一教授

 私には1つの夢があります。大きな夢です。1つであって2つではありません。それは(日本語)文法を化学のような科学にすることです。

 大学の学部時代に日本語に文法的性質のよく似た言語であるモンゴル語を学び、また言語学も勉強して、この夢を持つようになりました。そして40年あまりが経過して、この夢がある程度実現しつつあります。私のホームページをご覧いただけば、それがどの程度実現しているかを見ることができます。

 日本語の文法はこれまで多くの研究者によって研究され、すでに研究しつくされており、これから若い研究者が入っていく余地はない、と考える人もいます。確かに、先人たちの行っていた研究方法を採るならば、そうかもしれません。しかし、その方法は唯一の正しい方法だったのでしょうか。私の目には、その方法は非常に日本的なローカルな要素があるように思えてなりません。

 日本語の文法は言語学の基本に立ち帰ってみてもよいのではないでしょうか。正確な形態素分析を行い、それらの形態素がどのように構造を作り上げているのかを解明していく道があります。構造の基本単位は非常に単純なもので、実体(名詞的なもの)と属性(動詞、形容詞等)とその両者を関係づける「格」によって構成されています。これが組み合わされて大きな複雑な構造を形成していきますが、この構造は立体モデルで示すことができます。このしくみを明らかにしたいと思います。また、テンス・アスペクト等もモデルを設定することによって容易に把握することができるようになります。

 私は還暦も過ぎ、この先どこまでこの夢の実現に向けて進んで行くことができるのか分かりません。若い人にこの夢を託したいと思います。基本をしっかり押さえた、頭の柔軟な、発想の豊かな研究者に引き継いでいただき、研究を進めていただければと思います。

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