尿路結石に対する治療法は腎臓や尿管にある結石(上部尿路結石)と、膀胱や尿道にある結石(下部尿路結石)とでは異なります。一般に、治療対象となる尿路結石の多くは上部尿路結石ですので、上部尿路結石の治療について紹介します。治療法は尿路結石の治療方法にも紹介しておりますが、基本的に日本泌尿器科学会を中心に作成された尿路結石症診療ガイドラインに沿って治療を行います。
体外衝撃波砕石術(ESWL)
衝撃波エネルギーを体内の結石に照射し、結石を砕石する治療法です。主に、腎臓に近い尿管結石や長径が20mm以下の腎結石に対して行われる治療法ですが、その他の上部尿路結石に対しても行うことができます。杏林大学では2007年7月にESWLの機種を変更し、治療成績のさらなる向上が期待されています。術後の血尿はほとんどすべての施行例でみられますが、低侵襲な(体への負担が少ない)治療法です。
経尿道的尿管砕石術(TUL)
尿道から尿管の中に内視鏡(尿管鏡)を挿入し、結石を砕石したり取り出したりする手術法です。主に、膀胱に近い尿管結石やESWLで無効であった結石に対して行われる治療法ですが、最近の尿管鏡の進歩により、TULはほとんどの上部尿路結石に対して治療が可能になってきております。杏林大学では、様々な症例に対応できるように、最新の尿管鏡やレーザー砕石器を常備しています。
経皮的腎砕石術(PNL)
背中の皮膚から腎臓の中に内視鏡を入れて結石を砕石したり取り出したりする手術法です(内視鏡を入れる穴は、超音波で腎臓に細い針を刺した後、次第に拡張して作成します)。主に、長径20mm以上の腎結石に対して行う治療法です。PNLは腎臓に内視鏡を入れる穴を作成する点である程度の出血を伴い、ESWLやTULと比べて侵襲性(体への負担)は高くなりますが、大きな腎結石に対しては効果的な治療法です。実際にPNLを行っている施設は限られておりますが、杏林大学では充実した設備と治療経験の豊富なスタッフが揃っておりますので、多くの患者様の治療にあたっております。