杏林大学医学部付属泌尿器科教室 Kyorin University Hospital Urology.

当教室の方針

平成7年に東京大学医学部を卒業し、東京大学医学部附属病院やハーバード大学マサチューセッツ総合病院などを経て、平成30年4月1日より、杏林大学医学部泌尿器科学教室 主任教授を拝命しております。

さて、杏林大学泌尿器科学教室は、腹腔鏡手術・内視鏡手術のパイオニアとして我が国の泌尿器科学をリードして参りました。この伝統を正しく引き継ぎ、ロボット支援手術、腹腔鏡手術などがんの低侵襲手術、尿路結石に対する内視鏡手術を中心に診療を行っていきたいと考えております。
また、患者様との信頼関係を前提とし、治療抵抗性がんなど先進的な医療の実践や高難度の手術技術の開発・普及にも積極的に努めて参ります。そのために、医療の安全には万全の努力を払う所存です。同時に、多摩地区の中核病院として、地域医療の推進に貢献したいと考えております。例えば、泌尿器科領域の救急疾患でもある腎尿管結石の治療にも一層励みます。「あたたかい心のかよう、良質な医療」を患者様に提供すべく、スタッフ一同、精進いたします。

医学部学生さんへ

まず、患者様の立場に立った医療を実践できる人材を輩出したいと考えています。一医療人であるとともに、高い人間性を併せ持つことが社会的にも求められてきています。また、最適な治療を行うには、それぞれの疾患を科学的によく理解した上で、その疾患に対する正しい治療哲学が必要となります。泌尿器科学が扱う疾患は、癌・排尿・結石・腎不全など多岐に亘り、がんについても腎・膀胱・尿道・前立腺・精巣と臓器毎に特性がかなり異なります。また、手技としては外科学的な解剖の理解が核となります。泌尿器科学の研鑽を通して、人としても良き医療人となるべく、情熱を持って教育にあたります。

研修医・専攻医の皆さんへ

手術手技の指導だけではなく、専門研修として、「文献検索を含め自分の頭で考えること」を念頭に指導を行っております。病棟において、単に上級医の指示を鵜呑みにしないよう、何故この治療方針なのか、常に問いかけながら指導しております。自主的に考えるよう促すことで、泌尿器科専門医取得に向けても、無理なく知識を吸収するとともに、広い視野を持つことができると考えているからであります。具体的には、当科の問題事例や印象に残った症例を取り上げ、「文献検索を含め自分の頭で考えること」を狙いとして、討論を通して指導しております。これは、「基礎知識を獲得するに留まらず、幅広い分野で応用の利く優秀な医療人を輩出する」という大学病院の研修の命題を達成することを目指したものであります。

なお、若い先生方にも積極的に手術に参加して頂いております。泌尿器科では、内視鏡手術や腹腔鏡手術、ロボット手術において、術者と同じ画像を共有することが可能であり、若くてもカリキュラムを整備すれば、早く手術を習得することが可能です。腹腔鏡認定医などの資格も、医局内手術手技検討会などを定期的に開催し、無理なく取得することを目指しています。

また、泌尿器科は病院ごとに特徴があるため、多摩地区の特色のある病院と連携して教育プログラムを行ってきました。このたび、新専門医制度が始まるに当たり、東京大学医学部附属病院泌尿器科のプログラムとも連携し、さらに充実した教育システムにより、優れた医療人を育てていきたいと考えております。

最後に

私たちは、持てる力の全てを尽くして、最善の医療を提供できるように努力いたします。また、患者様やご家族様に対してはわかりやすい説明を心がけ、「あたたかい心のかよう、良質な医療」を患者様に提供いたすべく、スタッフ教育も充実させて参ります。何卒よろしくお願いいたします。

杏林大学医学部泌尿器科学教室 主任教授 福原 浩