皮膚科先進的な医療への取組み

当教室では世界に先駆けて、体内に潜伏しているウイルスの活性化が重症薬疹(特に薬剤性過敏性 症候群)の病態に密接に関わっていることを報告しており、実際に様々なウイルスが病態に関与していることを、抗体レベルだけでなく、遺伝子レベルでも検査し、治療に役立てています。また薬剤性過敏症症候群の遅発性障害としての自己免疫疾患の出現に注目し、その早期検出、予防に取り組んでいます。

毛髪外来には全国から難治性の脱毛症患者が受診されており、その中でも重症の円形脱毛症,、瘢痕性脱毛症の治療に力を入れています。 研究施設を有する特定機能病院の特徴を活かして、特に重症円形脱毛症の治療前後で病理学的検討やリンパ球分画の測定を行うことにより、治療効果を判定し、予後の解析に取り組んでいます。

従来アトピー性皮膚炎は汗をかくと悪くなると言われてきましたが、実際には発汗を促すことで症状が軽快する症例があることもわかっています。 当教室ではアトピー性皮膚炎患者に発汗試験及び経皮水分蒸散量、角質水分量の測定を施行していますが、患者の多くで温熱負荷による発汗の増加が認められないことを見出しています。これが皮膚の乾燥を助長するなどして発疹の増悪につながる可能性があるため、発汗を促すよう指導を行っています。また、慢性蕁麻疹患者においても角質水分量の低下があることを見出しており、保湿剤を外用することで症状の軽減を認めています。 その他に扁平苔癬、斑状類乾癬などの皮膚疾患でも、一部の症例でその発症に発汗低下が関与していることを明らかにしており、 発汗の促進、保湿剤の外用により良好な治療結果を得ています。またアトピー性皮膚炎患者は種々の皮膚感染症に連鎖的に罹患することを見出しており、時に重症化することから、培養、PCR、抗体検査 などの結果をもとにその予防につとめています。