放射線治療科概要・特色
診療科長/教授江原 威
精度が高く体への負担少ない治療を
放射線治療はあらゆる悪性腫瘍（がん）に対して適応となる可能性があります。それは「がん」を治す治療から症状の緩和を目的とした対症療法まで幅広く適応があるからです。治療の決定においては当院のみならず他院での治療（重粒子線や陽子線など）まで含めて検討し、最適な方法を提案します。また、仮に治すことが難しい場合でも、充実した時間を過ごせるよう、放射線治療を効果的に利用する方法を検討します。
放射線治療は手術，化学療法と並んで，がん治療の3本柱です。実際の治療では手術，化学療法と組み合わせた治療（集学的治療）が一般的です。内科や外科の主治医と密に連携し、放射線治療を含む最適な治療を追求します。
当診療科の特色
高齢化の進む中，体への負担の少ない放射線治療の重要性は高まっています。より安全で効果的な放射線治療に取り組んでいます。
当院では2019年にさまざまな最新の治療機器が導入されました。これらを用い、病変部に放射線をより集中させ、かつ、周囲の正常組織の被ばくを下げる治療に取り組むことで、精度の高い、体への負担の少ない放射線治療を目指しています。そのために高精度放射線治療と言われるピンポイント照射（定位放射線治療）、強度変調放射線治療（IMRT）を積極的に活用しています。また、呼吸による臓器の動きに対応した呼吸同期照射や息止め照射、CT画像で計画する小線源治療（画像誘導小線源治療）なども行います。
取り扱っている主な疾患
あらゆる腫瘍が対象となる可能性があります。ご相談下さい。
- 脳腫瘍（原発および転移）
- 頭頸部腫瘍
- 肺癌、悪性胸膜中皮腫、縦隔腫瘍など
- 乳腺腫瘍
- 消化器癌（食道癌、肝細胞癌、膵臓癌、直腸癌など）
- 婦人科腫瘍（子宮頸癌、子宮体癌など）
- 泌尿器科腫瘍（前立腺癌、膀胱癌など）
- 骨・軟部腫瘍（原発および転移）
- その他の悪性腫瘍
- 良性腫瘍
診療体制
外来では月曜日から木曜日に治療の依頼を受け付けています。主治医と相談の上、受診手続きをして下さい。治療の適応と判断された場合、多くは数日以内で治療を開始することができます。
病棟業務は行っていません。入院が必要な場合は各診療科への入院となります。
先進的な医療への取組みに
ついて
- 画像誘導放射線治療；CTや透視画像を用いて正確な治療を行います。
- 定位放射線治療（ピンポイント照射）；多方向から放射線を集中させることで、正常組織の線量を抑えつつ、病変部にはより多くの線量を投与することができます。
- 強度変調放射線治療（IMRT）；病変の形に合わせた、そして正常組織を避けた線量の投与を可能にします。
- 呼吸同期照射・息止め照射；呼吸による腫瘍の動きや変形に対応した治療です。
- 画像誘導小線源治療；CT画像で計画する小線源治療。子宮頸癌などが良い適応です。
- これらの技術を最大限に活用した治療を提供します。
