内視鏡室概要・特色
久松 理一
安全で苦痛のない検査を行っています
内視鏡室で行っている検査は上部・下部内視鏡検査、ERCP、EUS、小腸ダブルバルーン内視鏡検査、カプセル内視鏡検査、気管支鏡検査になります。通常のスクリーニング検査からESDをはじめとした高度な技術を要する先進医療までカバーしています。患者様一人一人の状態を見ながら安全で苦痛のない内視鏡検査を行うこと、結果を丁寧に説明することをスタッフ全員で心がけています。
当診療科の特色
内視鏡室では、消化器および呼吸器疾患の診断と治療を目的とし全7室に最先端機器を配備し専門的診察を行っております。また、小腸内視鏡やカプセル内視鏡 による小腸病変の検索も積極的に行っております。また当院では消化管出血や胆管炎などの緊急内視鏡検査が多い事から、24時間365日安全に対応できる体制を整えています。スタッフ一同、患者さんの立場に立った、苦痛のない「真心内視鏡」を目指しています。
取り扱っている主な疾患
内視鏡を必要とする疾患全般にわたって診療しています。
- 食道、胃、大腸疾患の診断と治療
- ダブルバルーン内視鏡やカプセル内視鏡などの小腸疾患の診断と治療
- 胆道膵臓疾患に対するERCPを用いた診断と治療
- 気管支鏡を用いた呼吸器疾患の診断と治療
診療体制
内視鏡室は診療支援部門の一つとして位置づけられており、内視鏡室での検査・治療は、消化器内視鏡分野は主に消化器内科、上部消化器外科、下部消化管外科、肝胆膵外科、高齢医学科、総合医療学教室が、また気管支鏡分野は呼吸器内科、呼吸器外科が行っており、複数の診療科が携わって診療にあたっています。
先進的な医療への取組みに
ついて
早期食道・胃・大腸癌に対する内視鏡的粘膜切下層剥離術をはじめ、膵胆管系疾患に対する内視鏡的逆行性膵胆管造影や超音波内視鏡下穿刺術など、先進的な内視鏡治療に積極的に取り組んで参りました。また、かつては診断・治療の難しかった小腸分野においても、カプセル内視鏡やダブルバルーン小腸内視鏡を用いた診療も当院では可能です。
気管支鏡領域では、気道ステンティングや超音波気管支鏡ガイド下針生検、気管支鏡下レーザー治療などにも取り組んでいます。
小腸内視鏡検査(ダブルバルーン内視鏡/シングルバルーン内視鏡/カプセル内視鏡)
当院では小腸カプセル内視鏡、ダブルバルーン内視鏡、シングルバルーン内視鏡をすべて常備し、胃カメラや大腸カメラで原因が同定できない消化管出血(OGIB)、クローン病やベーチェット病、非特異性多発性小腸潰瘍症などの難治性疾患、がんや悪性リンパ腫などの腫瘍性疾患など、小腸に病変を呈するさまざまな疾患を対象に小腸内視鏡検査を行っています。また小腸疾患の内視鏡診断のみならず、OGIB症例に対する内視鏡的止血術、クローン病の小腸狭窄や吻合部狭窄例に対するバルーン拡張術などの内視鏡治療も精力的に行っています。さらに術後再建腸管におけるバルーン内視鏡を用いた検査や治療など、小腸以外の領域にもバルーン内視鏡を広く用いて消化器疾患の診療に役立てています。
ERCP
内視鏡的逆行性膵胆管造影法(以下ERCP)は、特殊な胃カメラを使用して胆管や膵管を造影する方法です。胆管と膵管は十二指腸の乳頭というところが出口となっており、胆汁や膵液の流れに逆らってカテーテルを進めていくため「逆行性」という言葉がついてます。胆管や膵管にはカメラを挿入することができないため、代わりに造影剤とレントゲンを使用して行います。ERCPの特徴は胆管や膵管の検査と治療を同時に行えることです。ERCPを用いた検査では、胆管や膵管に胆石や腫瘍があるかどうかを調べることができます。胆石が見つかれば、胆石を取り除く治療も可能です。腫瘍が疑われるような病変があれば、細胞をとって診断をつけることも可能です。また、結石や腫瘍により生じる黄疸に対しては、ステントを用いることにより、黄疸の治療も行うことができます。私たちは年間400件ほどERCPを行っており、患者様に負担がかからないような検査、治療を心がけて診療をしております。
内視鏡的粘膜下層剥離術
現在、早期癌の中でもリンパ節転移の可能性がほとんどなく、腫瘍が一括で取り切る事ができる大きさと部位にある病変は、内視鏡治療でも外科手術と同等の治療成績を得る事が可能となっています。内視鏡治療は局所治療であるため、手術と比べ患者様に与える負担が小さくいのが特徴です。中でも内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は非常に有用であり、現在早期癌の内視鏡治療の中心を担っています。入院期間は約1週間と手術よりも短期間であり、また退院後もすぐに日常生活へ戻る事が可能です。当院では2014年1月より大腸腫瘍に対してもESDを導入し、年間約160例の治療を行っています。