薬剤部 業務紹介

部署紹介

調剤室 注射調剤室 製剤室 化学療法調製室
病棟業務 医薬品情報室 ICU・オペ薬局 TCC薬局

調剤室

2019年4月に厚生労働省から発出された「0402通知」により薬剤師の対物から対人へのシフトが求められる中、薬剤部では電子カルテシステムと調剤支援システムの連動による「アレルギー情報」「相互作用-併用禁忌」「重複投与」などの チェックを行い、効率化を図りつつも安全な薬物治療を提供すべく調剤を行っています。 入院調剤は自動錠剤分包機による一包化を基本とし、散薬調剤、水薬調剤に監査システムを導入し計数・計量の間違いを防止しています。外来、退院の処方においては薬の効能や副作用について記載した薬剤情報提供書を添付しています。 また近年、複雑化し契約が増加している治験薬については、プロトコールに則り調剤、調製、監査し、お薬をお渡ししています。


調剤室風景


自動錠剤分包機

注射調剤室

昨今、多様化する薬物治療に用いる注射薬の調剤においては、医薬品安全管理(セーフティマネジメント)に寄与するために個人別注射セットでは施用単位毎の取り揃えを行っており、バーコード認証システムに対応できる施用ラベルを添付して全病棟への払い出しを行っています。また、院内への医薬品の安定供給も視野に入れ採用薬の適正化を図ることにも注力しています。
病棟医薬品に関しては定数医薬品の定期的評価による「適正在庫管理」、月 1 回の 「期限切れなどの品質管理」を行っています。 加えて、各病棟に薬剤師を配置し「使用・保管・管理」、「注射調製等の情報提供」を行うべく医薬品管理を行っています。


医薬品倉庫風景


注射薬払出システム

製剤室

臨床の場では治療上医師が必要とするにも関わらず市販されていない薬剤も数多く存在します。そのようなニーズに対して、薬剤師により調製される院内製剤があります。調製されている製剤は、内服剤から注射剤まで様々です。
院内製剤は、病気に関する知識に加えて薬剤師の幅広い薬学的知識と技術を結集させ調製をして、そして品質を確保し、有効性、安全性、安定性の面についても配慮しています。
注射薬混合調製業務は、アンプルなどの注射薬を点滴の中に混ぜる業務です。注射薬は血管の中に直接入れるため、内服薬に比べてより速くそして強い効果が期待できます。
長期に食事の摂れない患者さんに対して、1日に必要な栄養の高いカロリーの点滴をすることがあります。栄養が豊富だと細菌汚染されやすいため、クリーンベンチという専用設備を用いて無菌的に混合、調製をしています。これにより、衛生的にお薬を保つ事ができます。また、点滴の組み合わせによっては、結晶が析出することもあるため薬剤師の専門的な知識による配合のチェックも行っています。



化学療法調製室

入院および外来患者さんに投与する注射抗がん薬の調製を行っています。
安全で確実ながん薬物療法の実践、抗がん薬曝露の回避、および医薬品の物理化学的安定性を保証することを目的として、抗がん薬の調製、抗がん薬適正使用に関する情報提供、レジメン(治療計画)に基づく処方監査を行っています。
抗がん薬の調製は、各種抗がん薬の特性・調製手順・手技を熟知した薬剤師の指導の下で研修を受けた薬剤師が、クリーンルームに設置した安全キャビネット内で、無菌的かつ抗がん薬曝露の危険性を最小限に抑えながら行っています。
また、抗がん薬の配合変化、調製後の安定性・保存条件、投与時の注意点などを医師、看護師に情報提供しています。
患者さんが治療を受ける際は、抗がん薬の種類、投与量、投与方法、投与スケジュールが適切か、事前に登録されたレジメンに基づき処方監査を行い、安全で確実ながん薬物療法の提供に努めています。



病棟業務

病棟業務における薬剤師の役割は、入院患者さんに対する最適な薬物療法を実施し、有効性・安全性の向上を目指すことです。当院では、各病棟に薬剤師を1名配置しています。入院時には、持参薬の確認や、今までに経験したアレルギーや副作用を確認して今後の治療で使用する薬剤で同じことが起こらないように注意します。入院中に処方された内服薬や外用薬、注射薬などについて、患者さんやご家族に対して服用方法や薬の作用、注意点などをご説明します。 また、検査値や患者さんからの自己申告をもとに効果や副作用を評価します。さらに必要に応じてTDM(Therapeutic Drug Monitoring薬物血中濃度モニタリング)を実施し、適切な薬剤の投与量の設計に寄与しています。退院時には、ご自宅等で適切な薬の服用や管理ができるように、ご説明や工夫をします。
薬の種類や量が多い方は、飲み合わせや副作用を気にされます。少ない方も薬を飲みなれていない分、不安は同じです。すべての方が納得して薬物療法を行っていただけるように、医師・看護師をはじめとする多くの職種と連携しながらチームの一員として貢献しています。



医薬品情報室

医薬品情報室はDI(Drug-Information)室とも呼ばれ、医薬品情報の収集・評価・管理・提供、薬事委員会事務局の運営、病院情報システムの医薬品情報管理メンテナンスなどを主な業務としています。
医薬品の添付文書・インタビューフォーム・製品情報概要や、厚生労働省や製薬企業よりの安全性情報などを予め収集し、医薬品に対するQ&Aに対応しています。院内情報誌として「杏薬報」の発行、また、「医薬品情報室ホームページ」を作成しイントラネットとしての情報提供を行っています。
薬事委員会事務局業務は、医薬品採用申請に関する事前のヒアリングや、委員会資料の作成、委員会開催準備、結果報告などを行っています。市販後調査や副作用情報収集・報告も薬事委員会の範疇です。また、後発医薬品の導入も積極的に行っています。 病院情報システムの医薬品情報管理メンテナンス業務としては、電子カルテシステムや、薬剤部の調剤支援システム内の医薬品情報を管理・メンテナンスしています。新規医薬品が採用になると採用医薬品情報を登録し、また添付文書の改訂などの際には登録情報の随時改訂を行っています。

ICU・オペ薬局

中央手術部での迅速かつ的確な対応が求められるため、薬剤部ではサテライト薬局を設けて薬剤管理を行っています。
麻薬・毒薬(筋弛緩薬)・向精神薬・麻酔薬などの患者別払い出し、使用確認と空容器などの回収、定数麻薬・毒薬(筋弛緩薬)・向精神薬・麻酔薬の使用確認と補充、基本セットの定数確認、使用期限の管理、医薬品情報の提供、などを行っています。

TCC薬局

TCC (高度救命救急センター)のサテライト薬局であるTCC薬局は、集中治療室や救急外来で迅速な対応を行うために設置されています。
日勤者は救急専用の集中治療室に常駐し、投与薬剤の把握やアセスメント、及び医師・看護師との情報交換を通した薬学的管理を実施しています。各種投与設計やカンファレンスへの参加など、重症患者に対する濃厚な治療に関与する一方、会話可能な方に対する薬剤管理指導も実施し、多方面から薬物治療の適正化に貢献しています。
夜勤者は軽症患者に対する院内処方を調剤するほか、救急外来や病棟で使用される注射薬の払い出しなどの業務を行っています。
これら日常業務以外にも、多摩地域唯一の高度救命救急センターの薬剤部として、認定薬剤師の取得やDMAT(災害派遣医療チーム)への参画などを通じ、救急医療・集中治療・災害医療に強みを持つ薬剤師の育成に取り組んでいます。


集中治療室の様子


3次救急外来の様子


DMAT研修の様子
(黄色のビブスが薬剤師)

チーム医療

「チーム医療」とは、一人ひとりの患者さんの状態に合わせて、医師や薬剤師、看護師、管理栄養士などの多種多様な職種が互いの専門性を尊重し、最大限の能力を引き出し合うことによって最善の治療を行うことを目的とし関わっていく医療の取り組みのことを指します。
チーム医療において薬剤師に期待される役割は、患者さんの状態に応じた薬剤選択をはじめ、投与量や投与方法などの処方提案、さらには、薬剤の取り扱いについて他の職種にアドバイスをしたり、薬物の血中濃度や副作用のモニタリングなどの結果に基づいて副作用の発現状況や有効性の情報を共有したりと、薬の専門家として様々な分野で業務を行っています。 当薬剤部も専門資格を有した薬剤師が活動しています。

緩和ケアチーム ICT/AST 栄養サポートチーム 術後疼痛管理チーム HIV症例カンファレンス

緩和ケアチーム

患者さんの身体の痛みや心のつらさなどを和らげる、医師、看護師、薬剤師などの多職種からなるチームです。薬剤師は、医療用麻薬などの鎮痛薬の処方提案や副作用の対策、患者さんへの服薬指導、医療従事者への薬剤情報提供などを行っています。

ICT(Infection Control Team)/AST(Antimicrobial Stewardship Team)

ICTは感染対策業務について、ASTは感染症診療・抗菌薬適正使用について院内横断的に活動するチームです。医師、看護師、臨床検査技師らと共に各々の専門性を活かし、職業感染予防から感染症治療のマネジメントを担います。

栄養サポートチーム(NST)

栄養管理が必要な低栄養の入院患者さんに対し、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師等が適切な静脈栄養法や経腸栄養法の提案を行っています。

術後疼痛管理チーム:KAPS(Kyorin Acute Pain Service)

麻酔科医師、看護師、薬剤師で術後疼痛管理チーム(KAPS)を結成し、主治医と連携しながら対象症例に向けたAcute Pain Serviceの運用を行っております。薬剤師もチームの一員として回診やミーティングに参加し、より良い薬物治療に貢献できるように日々頑張っております。

HIV症例カンファレンス

当院はエイズ診療拠点病院であり、HIV・AIDSの診療をしています。HIV感染症治療は抗レトロウイルス療法(ART)と呼ばれる薬物治療が標準的に行われており、感染症科医師、AIDS専従看護師、薬剤師等が月1回症例カンファレンスを行い、患者さんに対して最も効果的な治療法や方針の検討をしています。

外来部門

外来治療センター 周術期管理センター 糖尿病療養指導外来

外来治療センター

日常生活に近い外来診療で医師・看護師と協力し、継続的にがん薬物療法を支えています。治療レジメンと患者さんの状態を評価し、投与量や支持療法の処方提案をします。 自宅で患者さんが有害事象に対処できるよう服薬指導を行います。 また、保険薬局との情報共有や研修会を開催し、地域連携に力を入れています。

周術期管理センター

麻酔科管理の予定手術を受ける全患者さんを対象とした術前外来において、患者さんが安全で効果的に手術に臨めるよう多職種で協同して業務を行っています。 休薬が必要な薬剤やサプリメントの確認だけでなく、アレルギー歴や既往歴に応じた薬物療法の提案等、入院前から薬学的管理を行って外科系医師・病棟看護師・病棟薬剤師と情報共有しています。

糖尿病療養指導外来

糖尿病療養指導士の資格を有する薬剤師は、糖尿病・内分泌・代謝内科外来医師の診察室の並びの指導室で、同資格を有する看護師・管理栄養士・臨床検査技師・理学療法士と共に、外来診察室でチームの一員として活躍しています。

教室部門

腎臓病教室 糖尿病教室

腎臓病教室

慢性腎臓病の方やそのご家族を対象に、医師・看護師・管理栄養士・臨床工学技士・ソーシャルワーカーと共に教室を開いて、腎臓病療養指導の普及・啓蒙に努めています。

糖尿病教室

糖尿病に関する知識の習得が必要な入院患者さんを対象とした教室では「薬物療法」を担当しています。 薬の話だけではなく「災害対策」など、参加者が「次の自治体の会でみんなに伝えます」と言っていただけるようなお話をしています。