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在学生の活動

ハイチ共和国への国際緊急援助隊医療チームに参加して

国際医療協力専攻 近藤美智子(看護師)

ハイチ共和国と地震災害の概要

ハイチ共和国は、カリブ海に位置する人口約961万人、 面積27750km2(四国と九州の中間程度)、農業が主要な産業の国です。産業構造で、国内の政情不安と1991年の軍事クーデターを契機とした国際社会による経済制裁、自然災害の発生などにより、発災以前から経済社会状態は厳しい状況にありました。

上記の状況の中、2010年1月12日 現地時間 16:53(日本時間 13日 06:53)ハイチ共和国にM7.0の地震が発生しました。被害は、国連人道問題調整事務所の発表では、建物の80〜90%が倒壊し、死者20万人以上 被災者300万人以上 と報告されていました。

国際緊急援助隊医療チームの概要と活動

日本政府は、日本時間1月16日ハイチ共和国へ国際緊急援助隊医療チーム(以下、チーム)を派遣しました。チームの構成は、団長1名 医師4名 看護師7名 薬剤師1名 レントゲン技師1名 検査技師1名 その他救急救命士2名を含む医療調整や、業務調整担当者です。ほとんどの人が初めて顔を合わせ、ハイチのためにベストを尽くすために日本全国から集まり、私はこの仲間と被災地で2週間寝食を共にしました。

チームは、首都のポルトープランスから南西に約40kmに位置する人口13万4千人のレオガン市を活動場所に選定しました。現地で活動しているスリランカ軍の司令官によると、1月18日現在死者3000人、負傷者は10,000人ということでしたが、医療支援はまだ入っていませんでした。私達はポルトープランスから陸路で2時間かけて現地に入り、倒壊を免れた看護学校敷地を借りて活動を開始しました。

診療開始は発災6日後の1月18日でしたが、まだ治療の開放骨折や重症な外傷が多かったのが特徴でした。災害急性期の医療ニーズもあり、活動期間中の延べ診察人数は534人でした。1月23日には、自衛隊の医療チームも到着し、以降一緒に活動しました。また、日本からレントゲンやエコーを持参したため、後からレオガン市に入ったアメリカのNGO団体や国境なき医師団等から検査依頼を多数受けました。

このような状況下で、目を見張ったのは、現地の看護学生さんの働きでした。自らも被災者であるにも関わらず、私達がレオガンに入る前から被災者の手当を行い励ましていたと聞きました。さらに、私達のチームのために通訳や介助の支援をボランティアで一緒に行ってくれていました。同じ医療者として志の高さと慈愛に、ただただ頭がさがりました。

活動を通して考えたこと

今回の震災は、20万人を超える死者を出す、未曾有の大災害でした。そのような災害の中でも、明るさを失わず強く生きているハイチの方々から、支援に入った私たちが逆に励まされることも多くありました。今回の活動においては、救えない命もありました。しかし、被災者の笑顔を取り戻すために、出来る限りのベストを尽くしたと考えています。

これからハイチは、災害の亜急性期から復興期に向かうことと思われます。今後私たちができることは、ハイチのことを忘れず、常に関心を持ち続けることであると思います。私自身も、ハイチで被災者された方々やチームを支援して下さった方のことを忘れずに、大学院における研究に励んでいきたいと思っております。

最後に、今回、国際緊急医療援助隊の活動に参加するにあたり、多くの方々にご支援をいただきました。深く感謝申し上げます。


活動拠点周辺の風景


診療の様子(左端が筆者)


診察のひといき 子供と一緒


診療の様子


診療の様子


診療を待つ人々

写真提供:JICA国際協力機構

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