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大学ホーム国際協力研究科受験生の方へ修了生のメッセージ山本綾子さん 国際文化交流専攻 2004年9月修了

修了生のメッセージ

山本綾子さん 国際文化交流専攻 2004年9月修了

エジプトで日本語を教えています

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山本綾子さん

「こんばんはー」。午後6時、教室の「のれん」をくぐり、日本語コース受講者たちの声が響きます。エジプト・アレキサンドリア市で今年2月にスタートした国際交流基金日本語講座では、高校生から60歳に至るまで約50人が熱心に学んでいます。

私 は大学院を修了後、2005年夏から1年間、エジプト・カイロ市にあるアインシャムス大学外国語学部日本語学科で日本語を教えました。翌年秋からは、主人 と共にアレキサンドリア市で国際交流基金の講座立ち上げに携わり、現在アシスタントとして教室に入っています。同市で初の一般向け日本語コース開設とあっ て、募集時には定員を大幅に上回る230人が殺到し、日本語熱の高さに感心しました。

日本語教 師の仕事上、言語を教えることにばかり考えが集中しがちですが、実際には教室の外、つまり授業ができる環境を作り出すまでに、さまざまな人々の協力が不可 欠です。具体的には教室の確保や募集広告の掲載などで、言葉も考え方も全く違う相手と接触する場面が多くありました。講座が無事オープンするまでの過程の 中で、同時に自分自身の至らない点にも気付くことができました。

杏林の国際協力研究科では、さ まざまな職種の社会人や留学生がそれぞれの問題意識を持ちながら学んでいます。日本語に特化することなく、国際協力という大枠の中で専門分野を捉えられる ようにカリキュラムが組まれているのが魅力です。私の専攻は国際文化交流だったので、日本語・日本文化が中心でしたが、それ以外に「国際コミュニケーショ ン特論」「統計学」などの授業にも参加していました。そこでは別の専攻の人たちとも意見交換できたので、よい刺激になりました。他の人の意見を聞くことに よってそれが波紋のように広がり、やがて自分を語り出すようになります。私はこのようにして研究テーマを絞っていきました。

さ て論文についてですが、私は浅く広く知るのが好きなタイプなので、テーマ選びは二転三転し難航しました。最終的に、以前トルコ共和国で教えていた経験か ら、トルコ語と日本語の受動態を比較し、視点の違いを明確化することに決めました。他言語と比較することによって、日本語を外から眺めることができると考 えたからです。論文が独りよがりにならず、他者に分かりやすく伝達することができたのかどうか自信はあまりありませんが、以前から疑問に思っていた点をよ く観察し、自分なりに解決したというプロセス一つ一つが私の大きな財産になりました。大学院での一番の収穫は、論文はもちろんですが、それ以上に自己内省 のよい機会になったということです。多様性の中に身を置いてみたい方には、働く分野の違う社会人が集まる大学院はよい場所ではないかと思います。新たな学 びや発見は、ただ参考文献から得られるものではないからです。

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