上部消化管外科概要・特色

診療科長からみなさまへ 診療科長からみなさまへ

診療科長/教授 阿部 展次 診療科長/教授
阿部 展次

高度な技術で身体に優しい治療を

当科の診療対象疾患は食道・胃・十二指腸領域の腫瘍(腺腫、癌、粘膜下腫瘍、GIST、神経内分泌腫瘍など)が主たるものとなります。診断から治療、外来でのフォローアップまで、一貫した専門性の高い医療を提供できると自負しております。そのなかで、患者さんの身体に優しい治療、すなわち内視鏡的治療やロボット支援下手術、腹腔鏡下手術を診療の主軸に置いており、高度な技術を持った専門医がそれらを提供しています。また、緊急手術に対しても、下部消化管外科と肝胆膵外科と密な連絡を取り合い、24時間対応しています。治療内容について十分な説明を行い、患者さんが十分納得いくような治療を行うよう心がけています。わからないこと、納得できないことがあれば遠慮なさらず何でも言ってください。

当診療科の特色

当科では下記の4つの理念のもと診療に当たっています。

  • 低侵襲的な治療(内視鏡治療、腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術)を積極的に行う。
  • 外科治療の高い安全性を担保しながら、根治性を追求する。
  • 手術的治療だけではなく、非手術的治療も考慮し、個々の患者にとって最適な治療を行う。
  • 急性腹症(腹膜炎、虫垂炎、消化管穿孔、腸閉塞症など)に対しては可能な限り全力で対応する。
◎早期胃癌に対する内視鏡的切除
診断から内視鏡治療まで幅広く対応可能です. 外科医の目で厳密に内視鏡治療か外科治療かの適応を診断しています。内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、2001年の導入から700例を超し、安定して優れた成績が得られています。
◎胃癌に対する腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術
早期胃癌全例、一部の進行胃癌に適応しています。導入以来、500例を超す症例を経験してきており、安定した成績が得られています。 また、高難度とされる胃全摘術や噴門側胃切除術も日常的に腹腔鏡下・ロボット支援下で行っており、優れた成績が得られています。
◎切除不能胃癌に対する内視鏡治療
通過障害例にはステント治療を、出血例には緩和放射線療法を積極的に行っています。
◎胃粘膜下腫瘍(GISTなど)に対する治療
腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を含む様々な腹腔鏡下手術だけでなく、積極的に経口内視鏡的切除を「先進医療」として行っています。 他院で「手術」と言われた症例でも経口内視鏡的切除が可能な場合も少なくありません。痛みなし・お腹に傷なし・食事障害ゼロをもたらします。ぜひ、ご相談ください。
◎十二指腸腫瘍に対する治療
腺腫や表在癌に対しては経口内視鏡的切除や腹腔鏡下手術を積極的に行っています。他院で膵頭十二指腸切除術などのような大きな手術が必要と言われた場合でも、内視鏡的切除や様々な腹腔鏡下縮小手術で対応できる場合も少なくありません。患者さんは全国からご紹介いただいております。ぜひ、ご相談ください。
◎食道癌治療
早期癌に対しては内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)を積極的に行っています。進行癌に対しては外科的切除を中心に、化学療法科・放射線治療部と連携して治療にあたります。 外科的切除は低侵襲手術(胸腔鏡下+腹腔鏡下手術)を標準術式として、根治性を保ちつつ、より低侵襲な治療を心掛けています。また、切除不能例には内視鏡的ステント留置術も積極的に行っています。 さらに、放射線治療後の局所遺残再発に対して光線力学的療法(PDT)を導入しています。放射線治療後の局所遺残再発に対するPDTは、都内では当院含め3施設のみで、多摩地区では当院以外行われていません。
◎その他
鼠径部ヘルニア、腹壁ヘルニアなどの腹壁疾患に対して、それぞれの病態に応じた適切な手術(腹腔鏡下手術、前方・鼠径部アプローチ)を行っています。また、腸閉塞や急性虫垂炎、消化管穿孔などの腹部救急疾患は昼夜を問わず可能な限り受け入れ、積極的に手術を行っています。
◎チーム医療
外科、内科、放射線治療科、麻酔科、病理部が密に連携して治療に専念できる体制が整っています。特に食道癌や胃癌に対しては定期的に複数科合同カンファレンスを行い、個々の患者さんに見合った最善の治療法を決定しています。

取り扱っている主な疾患

  • 腫瘍:食道癌、食道異形性病変、胃癌、胃腺腫、胃粘膜下腫瘍(GISTなど)、十二指腸腫瘍(腺腫、表在癌、粘膜下腫瘍、カルチノイドなど)
  • 良性疾患:食道アカラジア、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニア、胃潰瘍・急性腹症(腹膜炎、虫垂炎、消化管穿孔、腸閉塞症など)
  • 腹壁疾患(鼠径部ヘルニア、腹壁ヘルニアなど)

診療体制

外来担当医は、卒後15年目以降のスタッフ医師(6名)で、午前・午後1~3名の医師が上部消化管疾患全般を対象に診療を行っています。
病棟担当医は、卒後10年目以降の医師(2名)を中心とし、卒後6〜9年目(2〜3名)、研修医(2〜3名)とともにチームを組んで診療に当たっています。会議(カンファレンス)は週最低3回行い、患者さん1人1人に対して、綿密に計画した手術治療や繊細な入院管理を行っております。
当直医は連日2-3名配置し、入院管理や緊急手術の対応を行っています。

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その他

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