病院病理部・病理診断科概要・特色

診療科長からみなさまへ 診療科長からみなさまへ

センター長/教授 柴原 純二 部長/教授
柴原 純二

病気の性格を判断し質の高い診断へ

患者さんを治療するためには、患者さんのもつ病気がどのような性質のものであるかを決める必要があります。病理部門では、病変部分から採取した細胞や組織を顕微鏡で観察して、病気の性質を判断する「病理診断」を担当しています。
私どもが患者さんに直接お目にかかることは基本的にはありませんが、眼の前の細胞・組織の背景に患者さんがおられることを常に忘れず、臨床各科と緊密に連携をとりながら、質の高い診断を提供してまいります。
私どもは不幸にしてお亡くなりになった患者さんの病理解剖も担当しております。病理解剖は病態を解明し、死因を明らかにすることを目的としており、今後の医学の発展のために重要な役割を担っています。
病院病理部・病理診断科は、日本適合性認定協会より国際規格ISO15189 (臨床検査室-品質と能力に関する特定要求事項)に適合している検査室として認定されています(認定日2023年12月22日)。

当診療科の特色

正確かつ迅速な病理診断を行うことが私どもの使命です。診断の正確さを保つため、採取された検体から顕微鏡標本が作製されるまでの過程、あるいは病理診断の内容そのものの精度管理を徹底して行っており、外部機関が提供する精度管理事業にも積極的参加しています。

病気の概念や分類方法は時代とともに変化し、近年は特に腫瘍の領域で分類の細分化・複雑化が進んでいます。私どもは最新の知識の習得に励み、また、新たな診断技術を積極的に導入することで、時代に即した病理診断を提供することを心掛けています。各医師は専門領域を持ち、部門内あるいは外部施設からのコンサルテーションに対応しております。

病理診断においては、臨床情報を十分に把握することが不可欠なため、臨床科の医師と連携を保ち、臨床情報についての疑問点・不明点は速やかに解消するように努めています。また、多くの臨床科と定期的にカンファランスを実施し、個々の症例について総合的な検討を行い、意見交換を行っています。

病理診断医は全国的に不足している状況です。私どもは病理医の不足のある施設から病理診断を受託し、地域医療への貢献も行っています。

取り扱っている主な疾患

さまざまな疾患が病理診断の対象となりますが、腫瘍と炎症性疾患が多くを占めています。内科・外科・産婦人科・小児科を含む多くの臨床科からの検体を取り扱っています。

一つ一つの細胞の評価を行う「細胞診断」、細胞のまとまりである組織の評価を行う「組織診断」を行っています。また、手術中に方針決定のために実施される「術中迅速診断」も担当しています。

診療体制

組織診断は、全症例について複数の医師が診断に関わり、2名以上の病理専門医の確認を経て、最終診断を行っています。

細胞診断は、臨床検査技師のスクリーニング後、全例について病理専門医・細胞診専門医の確認を通して、最終診断を行っています。

フロアガイド

先進的な医療への取組みに
ついて

がんの遺伝子異常の有無を網羅的に調べ、その情報に基づいた治療を行う「がんゲノム医療」が開始されています。遺伝子診断は主に病理部門で取り扱う検体を用いて行われるため、検体の取り扱いに細心の注意を払い、正確な遺伝子診断が行われるように努めています。