高校生新聞英語問題解答・解説
高校生新聞 6月号 英語問題の解答
さあ、何問できたかな?
(1) The boy admitted ( teasing ) the dog. |
(2) I like ( swimming ), but I don't like ( to swim ) in this pond. |
(3) I tried ( to talk ) to her, but I couldn't. |
(4) I tried ( talking ) to her, but she pretended not to hear me. |
(5) Politicians are used to ( speaking ) in public. |
高校生新聞 6月号 英語問題の解説

不定詞とは「to + V(動詞の原形)」、動名詞とは「V-ing」の形をしたものをいい、どちらも動詞以外の働きをさせる用法です。 まず、不定詞には大きく分けて3つの用法があることはご存知ですね。
(1)名詞的用法(〜すること)
(2)形容詞的用法(〜するための)
(3)副詞的用法(〜するために)の3つです。
(1) | a. To learn English grammar is an easy thing.<名詞的用法> b. I want a novel to read in the train.<名詞を修飾する形容詞的用法> c. Hanako went out into the field to pick berries. <動詞を修飾する副詞的用法> |
動名詞は名前が表しているように文の中で名詞的な働きをします。 (2a)は主語として、(2b)は補語として、(2c)は前置詞の目的語として、通常、名詞が現れる位置に現れています。
(2) | a. Being punctual is her chief virtue. b. My hobby is collecting old stamps. c. We use a knife and fork for eating meat. |
文の中で他動詞の目的語の位置には名詞が置かれますが、共に名詞の働きをする不定詞と動名詞がどんな場合でも交換して使えるかというと、そうではありません。不定詞しか目的語にとらない他動詞(3a)や、動名詞しか目的語にとらない他動詞(3b)があります。さらには、不定詞と動名詞の両方をとることができる他動詞(3c)もあります。
(3) | a. hope, want, wish, decide, expect, learn, plan, promise, … b. enjoy, mind, practice, admit, avoid, finish, stop, give up, … c. like, love, begin, start, continue, attempt, …. |
これらの動詞のリストをすべて暗記しなければいけないの? 心配しないでください。不定詞、動名詞の基本的な意味の違いを覚えておくだけで十分です。基本的に、不定詞にはまだ現実に起こっていない「未来志向」の感じがあります。一方、動名詞は「中立」あるいは「過去志向」というイメージがあります。ですから、文法書によく出てくる次のような文の意味の違いが出てきます。
(4) | a. I remembered to make a promise to buy her a doll. (彼女に忘れずに人形を買う約束をした) b. I remember making a promise to buy her a doll. (彼女に人形を買う約束をしたことを覚えている) |
remember to V は「忘れずに〜する」 という 「これからすること」 を 「忘れない、覚えている」 のに対し、remember V-ing は 「〜したことを覚えている」 という 「すでにしたこと」 を 「忘れていない、覚えている」 という意味になるのです。次の文も同じような違いがあります。
(5) | a. I will never forget shaking hands with the Prime Minister. b. I will never forget to shake hands with the Prime Minister. |
総理大臣と握手をしたのは(5a)で、まだ握手をしていないけど握手をし忘れないようにするのは(5b)ですね。
さあ、そうすればもう今回の問題の正解がわかりますね。(1)の admit は 「認める」 という意味ですから、「犬をいじめたこと」 を認めるので動名詞の teasing です。(2)はちょっと難しいですが、動名詞の場合は一般的な好き嫌い、不定詞の場合はまだしていないことに対するその場の気持ちを表しますから、 I like swimming, but I don't like to swim in this pond. となります。 I'd like to〜、I'd love to〜 などの 「〜したい」 という表現で不定詞を使う気持ちと同じ気持ちです。 try も不定詞と動名詞の両方を目的語にとることができる動詞ですが、意味が違ってきます。 try to V は 「〜しようとする」 という意味で、実際にそのことができたかどうかはわかりません。一方、try V-ing は 「試しに〜してみる」 という意味で、過去形になれば実際にそのことをしたことになります。(3)は 「彼女に話しかけようとしたが、できなかった」 なので tried to talk、 (4)は 「試しに彼女に話しかけたが、聞かないふりをされた」 という意味なので tried talking となります。(5)はよく出るいわば引っ掛け問題です。 to の後ろだから不定詞で動詞の原形だと早とちりしないでください。 to には前置詞の to もあり、この場合は 「前置詞の後ろには必ず名詞」 という原則から動名詞の speaking がきます。紛らわしい前置詞 to V-ing になるものに、be/get used to V-ing (〜慣れている/慣れる)、 object to V-ing (〜するのに反対する)、 look forward to V-ing (〜するのを楽しみにしている) はよく入試問題に出題されますから覚えておいてください。 さらに be used to V-ing と、助動詞的な used to V (かつてはよく〜した) とも混同しないでくださいね。
それでは、みなさん、また次回お会いしましょう。 I look forward to see you next time. おっと、 I look forward to seeing you next time!
(英語学科:稲垣大輔)