高校生新聞英語問題解答・解説
高校生新聞 7・8月号 英語問題の解答
さあ、何問できたかな?
(1) | Bright was ( taken ) aback by Mirai's sudden rage. |
ブライトは、ミライが突然怒り出したのでびっくりした。 | |
(2) | Yuya Fubuki was too ( drunk ) to drive his Lotus sports car. |
吹雪裕也は酔っぱらいすぎて、自分のスポーツカー Lotusを運転できなかった。 | |
(3) | The Rocky movie series will (encourage) those who enjoy it. |
映画『ロッキー』シリーズは、その映画が好きな人たちを勇気づけてくれる。 | |
(4) | The House of Red Roses was ( enclosed ) by old red brick walls. |
赤い薔薇の家は、古い赤煉瓦の壁に囲まれていた。 | |
(5) | Bruce Willis tried to grasp his safety belt ( fast ) when he fell from the building. |
その建物から落ちた時、ブルース・ウィリスは自分の安全ベルトをしっかりと握ろうとした。 |
高校生新聞 7月号 英語問題の解説

語彙を覚える時には、いろいろな覚え方がありますが、接頭辞や接尾辞に注目して、似たような意味を持つ語彙と組み合わせるやり方でも覚えやすくなります。しかし、接辞の中でも、en- という接頭辞と -en という接尾辞は、形は同じでも、意味や成り立ちがだいぶ異なります。それを整理しながら覚えましょう。 大きく分けると、接頭辞の en- には「〜を中に入れる」という意味があり、接尾辞の -en には@「過去分詞形を表す」A「動詞を表す」の二つの異なる機能があります。両者を混同しないように気をつけましょう。
(1) 英語の動詞は二つの種類があります。中学校では「規則動詞」「不規則動詞」と教わったことでしょう。けれど、古い英語の歴史をひもとけば、過去形、過去分詞形を作る時に二通りのパターンがあることに気が付くのです。 母音が替わる強変化動詞と、語尾に -(e)d や -t が付く弱変化動詞です。強変化動詞の場合、take- took - taken のように、母音が替わりますし、古い英語の名残で過去分詞の語尾が -en という形になります。この他には、break-broke- broken, fall- fell- fallen, eat- ate- eaten などがあります。他にもあるかどうか調べてみましょう! そして、この問題では、take ~ aback 「〜をびっくりさせた」 という熟語が使われています。aback という副詞にも、back に接頭辞 a- が付いていますね。ここでは受け身の意味で 「びっくりさせられた = びっくりした」 となります。日本語では 「びっくりした」 と言いますが、英語では受け身の 「be + 過去分詞」 が使われているところがポイントです。
(2) drink も、もともと強変化動詞でした。したがって、過去分詞形は drunken となっていました。意味は、日本語のように 「酒に飲まれた」 という感じです。そこで、「酒に飲まれた男」は a drunken man のように言うことがありました。 しかし、このように名詞の前に置かれる時(文法用語では attributive(限定的)と言います)以外は、現在では、動詞 drink の過去分詞形は drunk と書く方が多くなりました。名詞の前に置かれても、drunk と書くことすらあります。 (2a) She hit a drunken bloke who tried to grope her in a train. (彼女は電車で痴漢をしようとした酔漢をなぐった) この(2a)は、現在では次の(2b)のように言うことも出来ます。 (2b) She hit a drunk bloke who tried to grope her in a train. また、受動態では、100年ほど昔は (2c) He enjoyed being drunken during the festival season. (その祭の期間に、彼は酔っぱらうことを楽しんだ) と言えました。現在では (2d) He enjoyed being drunk during the festival season. という方がフツウになっています。 ちなみに、drink で完了時制を表現する時は、drunkenではなく、必ずdrunkを使います。 (2e) He has drunk a dozen bottles of beer. (彼はビールを12本も飲んだよ) のように言うのです。
(3) courage は「勇気」という名詞ですが、「勇気を与える」という動詞は、これに接頭辞 en- を付けます。 接頭辞 en- は、もともとラテン語の in- がフランス語で en- と変化したものを、英語が借り入れた表現です。「〜の中へ入れる、〜を中に入れる」という意味を持っていました。これによって、名詞や形容詞をもとにして「〜を与える、〜という状態にする」という意味を持つ動詞を作ることができるのです。 encourageの場合は「courageを中に入れる=勇気を人の中に入れる=勇気づける」という意味の動詞になります。このような動詞の中には、普段あまり意味を深く考えないような基本的な動詞も含まれます。次の例から、もとになった語彙と en- を付けた語彙の意味の組み合わせを調べてみましょう。 able - enable, joy - enjoy, danger - endanger, rich - enrich, sure - ensure
(4) (3)と同じく、これも「〜の中に入れる、〜という状態にする」という意味の接頭辞 en- を利用しています。そして、このもとになる語 close と enclose の関係は、やや複雑なものです。 close - enclose は、「閉じる」 - 「囲む」という意味の組み合わせになります。これに対して、問題文で与えられている closed - enclosed は「閉じている」- 「囲まれている」という意味の対照があります。このclosed は、語形からもわかるとおり動詞 close の過去分詞です。動詞 close は「(開いているものを)閉める、閉じる」という意味です。過去分詞 closed は、「開いている状態ではなく、閉まっている状態」という意味になります。 一方、enclose にも「閉ざされた状態にする」という意味がありますから、close と同じ意味かと誤解されます。何かを「囲う」場合は、動詞 close では表現できません。過去分詞形 enclosed は、「閉じられている、閉ざされている」という意味になります。この場合、「閉ざされた」=「他と交流を持たない」という意味が付加されることがあります。これを「比喩的な表現」と言います。次の例文に、その意味がよく現れています。 (4a) They lived in an enclosed community. (彼らは閉ざされた共同体の中で生活している) これに対して、closed は、実際に閉じているのですが、「近しい、緊密な」という意味も含みます。次の例文を見て下さい。 (4b) He had a fairly closed circle of friends. (彼の友人は仲間うちだけにかなり限られている) また、closed が実際に閉じていることを意味する表現として、次のような比喩的な表現もあります。 (4c) The whole debates took place behind closed doors. (すべての議論は閉まった扉の後で行われた)
(5) 接尾辞 -en には、動詞を作る働きもあります。「シートベルトを締めなさい」という表現は英語では Fasten your seat-belt.と言いますが、この場合のfasten は「しっかりと(握る、締める)」という意味の副詞 fast がもとになり、接尾辞 -en を加えることで「〜を締める」という意味の動詞 fasten を作っています。 同じような表現は、strength「強さ、力」 strengthen 「強化する」;light「軽い」lighten「軽くする」;light「明るい」lighten「明るくする」;short「短い」shorten「短くする」などがあります。 今回覚えた語彙の他に、接頭辞 en- と接尾辞 -en とを組み合わせた、light「光」 enlighten 「啓示を与える、啓蒙する」:live「生きる」 enliven「生き生きとさせる」という語彙もあります。英語の語彙って、覚え始めると面白いですね。
(応用コミュニケーション学科:伊藤盡)