主任教授からのメッセージ

杏林大学医学部産科婦人科学教室 教授 小林 陽一

 杏林大学医学部産科婦人科学教室のホームページに訪れていただきありがとうございます。さて、皆さんは産婦人科という科にどのようなイメージをお持ちでしょうか?分娩ばかりやっている?当直が多い?キツい?訴訟が多い?……実はどれも正しい印象とは言えません。確かに分娩は昼夜を問わずありますので、当直の日は眠れないこともあります。でも最近医師の働き方改革が急速に進んできて、当直明けは早く帰れるようになるなど勤務状況も劇的に改善されつつあり、私が若いころとは比べ物にならないくらいいい環境になりました。

 さて産婦人科の魅力は何でしょう?まず何といっても1人の人間の出生に立ち会えるということでしょうか。実はお産は必ずしも安産なものではありませんでした。1950年では出産10万人当たり161人もの妊婦さんが亡くなっていました。しかしながら2013年にはこれが4人まで減少しています。これは医学全体の進歩もありますが、やはり我々産婦人科医の先輩たちが努力してきた賜物といえます。現在でも自宅出産を選択する妊婦さんはおられますが、ほとんどの赤ちゃんは産婦人科医の手に抱かれてこの世に生を受けるのです。少子化が叫ばれる中、我々はこの数字を0にすべく頑張っています。

 周産期以外に産婦人科は他の3本の柱、腫瘍、不妊内分泌、女性医学から成り立っています。若年女性で月経困難症の患者さんでチョコレート嚢腫がある女性の手術や薬物療法を行い、結婚後不妊治療で妊娠に至り、出産まで全てに渡って関わることができます。閉経が近づいてくると更年期障害の管理を行います。若くして婦人科癌になった患者さんの手術や抗がん剤治療などを行うのはもちろん、当大学ではキャンサーサバイバーのQOLを非常に重視しており、ホルモン補充療法や高脂血症、骨粗鬆症などの管理も積極的に行っています。更に高齢になると骨盤臓器脱を発症します。それに対する従来法やメッシュ法など様々な治療を行っていますが、恐らく大学病院で骨盤臓器脱を婦人科と泌尿器科一緒にコラボしながら治療している大学は杏林大学以外には無いと思います。

 この様に女性の一生を診られる科、女性骨盤外科医であり女性内科医でもある、胎児超音波の達人にもなれる、女性医学にも携われる、これら全てを満たせるのが杏林大学産科婦人科学教室といえます。一言でいえば「欲張りな人」にピッタリの科といえますし、現に僕は非常に欲張りであるが故に産婦人科医になりました。

 全国の欲張りな諸君、是非我々と一緒に沢山のことを学んで色んなことができるマルチな産婦人科医を目指そうではありませんか。我々は常にあなた方を歓迎いたします。見学や話を聞きたいなど、随時受け付けておりますので、気軽にご連絡ください。心よりお待ちしております。

杏林大学医学部産科婦人科学教室 教授