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呼吸器・甲状腺外科

概要・特色

診療科概要

1993年現在の呉屋朝幸教授(元国立がん研究センター中央病院)が赴任して以来、また、近藤晴彦教授(元国立がん研究センター中央病院、静岡がんセンター)の着任後も一貫して、「患者さんとともに語り合い、その心の痛みを分かち合って病気に立ち向かう。」を基本理念とし、「徹底した情報の開示」、「患者さんへの説明と同意」を実践することをモットーに、「患者さん中心の医療」の実践に力を入れてきました。2014年より平野浩一教授が着任し、甲状腺腫瘍を中心とした頭頸部領域の腫瘍性疾患についても同様に力を入れています。現在では肺がんを中心とする呼吸器・甲状腺外科の診療・研究体制が充実してきました。当診療科は高度先進医療機関である杏林大学において、東京西部地区の肺がん診療の中心として、高い水準の医療を実践し地域に還元してまいりました。また、良性疾患の気胸・嚢胞性疾患、縦隔腫瘍の診療と研究も実践しています。呼吸器良性・悪性疾患、及び甲状腺疾患における研究成果と臨床経験をもとに患者中心の医療を行っています。

当科では積極的に人材の育成にも力を入れ、当医局の出身者の多くはがんセンターなどの専門施設でトレーニングを積んでいます。東京西部地区のみならず、関東を中心として活躍しています。今後、さらに臨床・教育・研究体制を充実するとともに、地域の皆様の健康と快適な生活に貢献して行きたいと考えています。

平成26年度 病院年報(診療活動報告書)

疫学研究・臨床研究に関する情報の公開について

・全国肺癌登録調査:2010 年肺癌手術症例に対する登録研究について
 詳細はこちらをご覧ください

取り扱っている主な疾患

肺がん

現在、肺がんは本国において最も死亡人口の高い疾患であり、年間およそ7.0万人(平成23年)の患者さんの命を奪う難治がんの一つです。肺がんの発がんの要因として最も関連性が高いのは喫煙です。肺がんは喫煙により男性ではおよそ4.5倍、女性ではおよそ2.5倍も罹患の危険度が増します。肺がんの初期は無症状であることが多く、何よりもこの時期に発見することが重要です。手術をお受けになられた患者さんの多くが、検診または他の疾患の治療中に偶然発見されて専門の医療機関を受診されています。しかしながら、日本における検診の受診率は、欧米や他の諸外国と比べて低く、このことは社会的な問題であり、その対応は急務であると考えます。また近年、日本においては喫煙習慣のない女性(非喫煙者・女性)の肺がんが増加しています。

正確な診断と適切な治療
肺がん治療は主に手術療法、化学療法、放射線療法の3つが柱になります。当科ではこれらの治療を組み合わせて行う集学的治療を取り入れています。肺がん治療開始に当たっては、治療法が病期(ステージ)によって異なるため、より正確な病期(ステージ)の診断が重要です。当科では気管支鏡による超音波ガイド下での肺、リンパ節生検も行っており、なるべく低侵襲な検査で正確な診断をつけるようにしています。病期I、Ⅱ期は手術中心の治療、Ⅲ期、Ⅳ期は抗がん剤を中心とした治療が適しています。当科では呼吸器内科や放射線科(画像診断、治療部)、病理診断科と連携を取りながら治療にあたっています。

肺がんの手術治療
肺がんの手術には図1のように肺全摘、肺葉切除、区域切除、楔状切除があります。がんの発生した場所やその進行度、患者さんの体力などによって術式を考えます。肺がんの標準手術は肺葉切除以上とされていますが、最近はCT画像(図2)で、すりガラス主体の肺がんは比較的おとなしい肺がんであることが多く、このような肺がんに対しては肺葉切除ではなく、肺を温存できる区域切除も行っています。詳しくは担当医までお問い合わせください。当院では専門医が丁寧に説明させていただきます。


図1:肺がんの術式

肺は右に3葉(上葉、中葉、下葉)、左に2葉(上葉、下葉)にわかれています。さらに各葉は複数の区域から成り立っています。肺全摘は一側肺をすべて切除する術式、肺葉切除とは左右あわせて5葉あるうちの1つを切り取る術式です。区域切除とは肺葉切除より小さい区域を切り取る術式、楔状切除とは区域よりさらに小さく切り取る術式です。


図2:肺がんのCT画像

左のCT画像は濃度が濃く、はっきりとした肺がんで、ある程度浸潤した肺がんを考えます。一方、右のCT画像はうすく、周囲がぼけたようなすりガラス主体の肺がんです。このような肺がんは浸潤傾向が少ないおとなしい肺がんであることが多いです

また、肺がんの手術療法は術後の呼吸機能に影響を及ぼします。我々は患者さんが退院後に手術前と同程度の生活ができるよう、低侵襲とされる胸腔鏡(カメラ)を併用した手術を多く実施し成果をあげています。胸腔鏡を併用した手術では、創から直接胸の中を見たり、あるいは胸腔鏡の画像をモニターに映しながら手術を行います(図3)。肋骨切除をすることなく、筋肉を温存することも可能で、術後の創部の疼痛をやわらげることができます。順調に経過すれば術後、1週間程度での退院が可能です。一方、進行肺がんに対しては標準開胸による手術を実施し、胸壁など周囲臓器の合併切除、気管・気管支形成術などの拡大手術なども実施しています。


図3:当院での胸腔鏡を併用した手術の風景

胸腔鏡併用手術では体への負担を少なくするため、創を小さくし、胸腔鏡(カメラ)の映像をモニターに写し、創から直接見たり、あるいはモニター画面を見ながら手術操作を行っています。

気管・気管支腫瘍

気管や気管支に腫瘍などの病気が存在すると、閉塞や狭窄による呼吸困難などの症状が現れます。これにはさまざまな疾患が存在しますが、主な治療としては内視鏡によるレーザー治療、ステント治療(金属性やシリコン性のパイプを気管の中に挿入し、狭窄している所を広げて通り道を確保する治療)や外科的な治療が挙げられます。

転移性肺腫瘍

肺から発生した原発性肺がんとは異なり、他臓器のがん(大腸がん、腎がん、骨軟部腫瘍、子宮がんなど)が肺に転移した腫瘍です。原発臓器でのがんの治療の経過が良好で、肺切除が可能な場合には病巣を外科的に切除しています。

縦隔腫瘍(胸腺腫・胚細胞性腫瘍・神経原性腫瘍など)

縦に隔てられたと書く縦隔は右と左の胸部の間に位置します。縦隔内には多くの重要臓器が隣接して存在します。縦隔腫瘍は多種多様な形態を示し、そのタイプは発生した臓器に由来します。中にはその種類によって内科的な疾患を合併する場合があります。縦隔腫瘍の大半は手術療法が第一選択となります。手術には胸骨を切開する方法や胸腔鏡を利用した方法などがありますが、腫瘍の大きさや拡がりによって決めています。術後の病理診断の結果によっては化学療法や放射線療法を施行します。

胸膜疾患

胸膜の疾患はまれですが、代表的な悪性腫瘍として悪性胸膜中皮腫が挙げられます。これはアスベスト暴露と関係が深い、胸膜に発生したがんです。治療が難しいがんとされていますが、手術療法、化学療法、放射線療法などを組み合わせる集学的治療を行っています。

膿胸

胸腔に膿が貯留する状態を膿胸といいます。細菌性・結核性肺炎や気胸などがその原因としてあげられます。初期対応としては胸腔内にチューブを入れて、膿を体外に誘導し排出する胸腔ドレナージを行います。場合によってはその後に手術を行うこともあります。病状の程度にもよりますが、手術は胸腔鏡を利用した手術を多く行っています。

自然気胸・外傷性気胸

自然気胸は10-20歳台の比較的に痩せ型で長身の男性に多くみられます。肺にできた嚢胞(ブラ;肺・胸膜にできた弱い部分)が破裂することで、肺が縮んでパンクした状態になります。一方、外傷性気胸は交通事故などで肺を損傷し合併する気胸で、ときに出血を伴って血気胸になることがあります。治療は主に脱気を目的とした胸腔ドレナージと外科的な治療があります。自然気胸を繰り返す場合、嚢胞(ブラ)の破裂が長期化する場合は手術を行っています。手術は胸腔鏡による小さい創で行い、気胸の原因となっている嚢胞(ブラ)を結紮(糸でしばること)もしくは切り取ります。さらに再発予防の観点から様々な方法で胸膜の補強を追加して行っています。

その他の胸部疾患

炎症性肺病変に対する肺切除や間質性肺炎に対する肺生検、胸腔鏡検査を呼吸器内科と連携して行っています。胸壁・横隔膜の外科的な治療も行っています。

甲状腺疾患

甲状腺とは喉仏の少し下にある蝶が羽を広げたような形をした臓器で、甲状腺ホルモンという、体の機能を一定に保ち、成長や代謝に深く関係する非常に大切な働きをするホルモンを産生する臓器です。また、甲状腺の裏側には副甲状腺(上皮小体とも呼ばれます)という米粒ほどの臓器が合計で4個ほどあります。こちらは骨や血液のカルシウムの調節をする大切な臓器です。これらの臓器に腫瘍や異常が出たときに主として手術を中心として治療するのが甲状腺外科です。

甲状腺癌取り扱い規約より
甲状腺外科の対象となる疾患には以下があります。

それぞれについて以下にご説明します。

1)甲状腺腫瘍性疾患について

甲状腺の腫瘍性疾患は数が非常に多い疾患です。日本国内における大規模な調査が無いため、潜在患者数の全国的な統計はありませんが、種々の発表を参考にすると甲状腺の腫瘍性疾患を持っている方は人口比5%程度はいるようです。また、女性多く、男女比は1:3と言われています。もちろん、そのすべての方が治療を要すると言うことではありませんし、大部分の方は治療の必要は無いと思われます。

甲状腺の腫瘍性疾患は大きく分けると2種類に分類されます。1つは腫瘍です。これには悪性腫瘍(いわゆるがん)と良性腫瘍(腺腫)があります。そしてもう一つは腺腫様甲状腺腫とよばれるもので、腫瘤(しこり)を作りますが、厳密な意味では腫瘍では無く、甲状腺の細胞が変性したもので過形成病変とも呼ばれています。

甲状腺悪性腫瘍(甲状腺がん)について
甲状腺がんにはいくつかの種類がありますが代表的な物としては乳頭がん、濾胞がん、髄様がん、未分化がんがあげられます。全体の90%を乳頭がんが占めます。乳頭がんは一般に予後(治りやすさ)が非常に良く、手術を受けられた方の90%以上が10年以上生存されます。リンパ節に転移しやすく、リンパ節を取る手術も一緒に行うことが多いです。濾胞がんは全体の5%ほどで、日本では数が少ないがんです。このがんも予後が良好で、10年生存率は85%程度と言われています。このがんは後述するように良性の濾胞腺腫との鑑別が難しいという特徴があります。髄様がんは1~2%で少ないがんですが、その中には他の臓器の腫瘍と合併したり、遺伝する型のものが含まれるため、注意が必要です。また、10年生存率は80%程度と言われています。未分化がんは1%程度で数は少ないですが、残念ながら非常に予後が悪く、未だ有効な治療法は見つけられておりません。

濾胞腺腫(良性腫瘍)
濾胞腺腫は良性腫瘍で、本来であれば手術をしなくても生命に危険を及ぼすことはありません。しかしながら、この腫瘍と濾胞がんの区別は時として非常に難しいことがあります。厳密に言えば、切除した腫瘍を顕微鏡で見なければ診断が着かず、手術前に濾胞がんと濾胞腺腫の鑑別をすることは困難と言われております。そのため、当科では一定の基準を設け濾胞性腫瘍(濾胞がんと濾胞腺腫を合わせてこのように呼称します)と思われる患者さんに手術をお勧めしております。

腺腫様甲状腺腫
先にもご説明しましたように、この腫瘤は腫瘍ではありません。しかしながら、がんとの鑑別が難しかったり、しこりが大きくなり頸部の圧迫感を呈することが出てきた場合には手術を行っております。

2)甲状腺・副甲状腺機能障害

甲状腺機能亢進症
バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症は基本的には薬(抗甲状腺剤)で治療をお受けいただきます。しかしながら、薬が効かなかったり、副作用で薬の内服が出来なかったりした場合には甲状腺を摘出する手術を受けて頂くことがあります。

副甲状腺機能亢進症
これには副甲状腺ホルモンを産生する腫瘍が出来た場合と副甲状腺自体が腫大(過形成)してホルモンを過剰に産生するようになった場合があります。腺腫については基本的にその腺腫を摘出します。過形成は薬により治療できる場合はそうしますが、薬が効かなかったり、薬が使えない場合には手術を行います。

3)その他の頭頸部腫瘍

当科の医師はもともと頭頸部(咽頭、喉頭、耳下腺、顎下腺、甲状腺など)全般に対する治療のトレーニングを受けており、必要に応じて甲状腺以外の頭頸部腫瘍の治療も行っております。


甲状腺超音波断層の画像

甲状腺・副甲状腺疾患の診断について
甲状腺・副甲状腺疾患の診断は血液検査、超音波断層撮影を中心に、必要に応じて細胞診(針を刺して、しこりから細胞を取り診断する検査)やシンチグラム、CT、MRIなどを行っております。

甲状腺・副甲状腺の手術について
甲状腺・副甲状腺の手術は頸部を切開して行います。左右の鎖骨を結ぶ線よりも少し上側で水平に切開します。切開する長さは腫瘍の大きさに応じて数cmから10cm程です。頸部のリンパ節にがんが転移していてその摘出術(頸部リンパ節郭清術)も行う必要がある場合には、もう少し切開線は長くなります。

甲状腺がんの手術では声に関わる神経(反回神経、上喉頭神経)が甲状腺と接して存在していることから、手術に際しその神経を損傷した場合には声が嗄れたり、高い声が出にくくなることがあります。神経が腫瘍に巻き込まれていない場合には切断する必要はありませんが、がんなどに神経が巻き込まれている場合(浸潤しているといいます)には合併切除せざるをえません。そのような場合、当科においては、声の変化を最小限に抑えるため、形成外科と協力し、切断した部位の神経を縫合したり、神経移植を行っております。また、それでもどうしても声の質に満足できない場合には喉頭形成術という声をよくする手術も行っております。

また、縦隔という胸の中まで進展した場合にも呼吸器外科と協力して摘出する事が可能です。当科では手術を行う際には整容的な事も考え、頸部の手術創は形成外科的に縫合しています。不幸にして進行した状態で手術を受けられるようになった患者さんに対してもQOLの低下を最小限で済むよう形成外科とも協力し手術を行っております。

通常の甲状腺腫瘍の手術の場合、入院期間は数日から1週間ほどですが、切除の範囲や術後の回復の状態によっては入院期間が延びることがあります。

また、切除範囲や病気の種類によっては手術後に薬(甲状腺ホルモン剤、カルシウム剤、ビタミンDなど)を内服して頂くことがあります。また、がんの患者さんの場合、病気の程度によっては放射性ヨードを用いた治療を受けて頂くことがあります。

理念

「患者さんとともに語り合い、その心の痛みを分かち合って病気に立ち向かう。」
「患者中心の医療」
「徹底した情報の開示」
「患者への説明と同意」
「総合的がん治療」
「地域全体で支えるがん治療」

基本方針

  1. 患者中心の医療:常に患者の利益を念頭に置き、チーム診療を積極的に行います。
  2. 徹底した情報の開示:患者の診療におけるデータを積極的に開示し、情報開示の希望があれば十分に対応します。
  3. 患者への説明と同意:診断や治療における方法や結果についてくまなく説明・記載・記録をし、十分な納得と同意を得ます。
  4. 総合的がん治療:がん治療に当たっては外科的治療のみではなく、内科的治療による診療を含めて、患者の立場に立った総合的な治療方針をたてます。
  5. 「地域全体で支えるがん治療」:診断・治療から緩和ケアまで、地域全体で患者を支える医療を推進します。

目標

具体的な理念に基づいて、患者さんが充分に納得できる診療を行うことを目標とします。

特色

患者さんとご家族に十分にご納得がいただける治療を行うことを大前提としております。治療を受けられるかたの利益を最優先し、入院期間、検査内容、治療方針を患者さん・ご家族とご相談のうえで決定いたします。

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