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在学生の活動

ニカラグア調査旅行記

杏林大学大学院国際協力研究科 国際医療協力専攻2年 稲葉 典子

修士論文のデータ収集のためニカラグアに行ってきました。19日という短い期間でしたが必要なデータは大体手 に入ったと思います。今回の調査旅行記では、私が調査をどのようにコーディネートしたかを報告したいと思います。国際医療協力専攻には社会人学生が多いの で、仕事の都合上長期休暇を取るのが難しい方の参考になれば幸いです。

アンケート調査

「McMaster Health Index Questionnaire」というQOLを評価するためのアンケート用紙を使って60人以上の重度身体障害者からデータを取ることを目標にしました。青 年海外協力隊員だったころに活動していた保健センターと友人が勤める病院で調査をさせてもらえることはだいぶ前から確定していたのですが、それだけでは データ数が60以上にはならないと考えられたので、その他にも調査地を探す必要がありました。JICAニカラグア事務所の職員にE-mailで相談した結 果、現在隊員が活動中の保健センターと以前隊員が活動していた病院を紹介してもらい、最終的には4ヶ所の調査地を確保することができました。

アンケートは自己記入式で69の質問項目から成ります。かかる時間は約20分と言われていますが、ニカラグア で実際に実施してみたところ多い人では倍以上の時間がかかってしまいました。今回調査したうちのほとんどの方がアンケートを一度も受けたことがなかったか らだと思います。信頼性と妥当性が証明されているという理由で既存のアンケート用紙を使ったのですが、ニカラグアの実情にそぐわない質問項目もあるという ことも実際に調査を実施してからわかりました。このようにニカラグアに入ってから気づいたことも多かったのですが、実情にそぐわないと思われる質問項目に は現状に沿うような質問を追加してその回答を脇にメモするなど、考察の際役立つであろう情報を収集するように努めました。

インタビュー

施設型リハビリテーションの現状を知るために、アンケート調査を行った病院や保健センターの職員にインタ ビューを行いました。来所者の主な疾患や年齢、性別等一般的な質問や、家族の支援状況、地域リハビリテーションについてどのような意見を持っているかなど をインタビューしました。医療従事者の意見をおおまかにまとめると、@障害が軽度でありA病院の近所に住んでおり(または遠くに住んでいても病院まで来る 交通費を捻出できる経済的な余裕がある)B家族の支援が厚い、という3つの条件が揃わないとリハビリに通ってくることすら難しいとのことでした。地域リハ ビリテーションに関しては、開始当初は上手くいくのだけれども、地域リハビリテーションが障害者社会開発事業であるということに対する理解が家族にも、医 療従事者にも、地域の人にもないので、結局継続しない(いつのまにかなくてもよいものとされてしまう)とのことでした。その他、DPI(Disabled Peoples’ International:障害者インターナショナル)ニカラグアの代表者から活動理念や活動内容についてのインタビューを行いました。DPIは「障害 者自身が障害者の機会均等と権利の獲得」のために活動する世界的な組織であり、JICAニカラグアで保健衛生部門を担当している現地職員にインタビューの 約束を取り付けてもらいました。また、厚生省ニカラグアリハビリテーションプログラム作成責任者にもインタビューすることができました。現在のニカラグア の障害者支援施策やどのような援助が障害者分野に必要なのかなどをお話ししてもらいました。このインタビューの約束もJICAニカラグアの職員に取り付け てもらいました。

文献収集

ニカラグア障害者政策(医療および社会福祉)についての政府刊行物、ニカラグア障害者に対する海外からの援助 状況および援助の歴史についての文献、地域リハビリテーションについての文献、障害者団体についての情報、障害者に関する統計的なデータ等を収集したかっ たのですが、どこで手に入るかよくわかっていなかったのでこれもJICAニカラグア事務所の職員に相談しました。援助についてのデータはJICAニカラグ ア事務所が所有しており、政府刊行物は厚生省が所有していました。統計データは国勢庁から出版されている本を購入し、地域リハビリテーションについての文 献や障害者施策やその他の障害者関連の文献は、ニカラグアで理学療法士を養成している唯一の大学(UNAN POLISAL)で収集しました(国立リハビリテーション病院でアンケート調査をしていた際に、偶然この大学の教授と知り合いになりました。探している文 献がまだ見つからないことを話すと大学に連れて行ってくれました)。

今回調査を終えてみて感じたことは、自分1人の力では短期間にこれだけの調査するのは難しかっただろうという ことです。欲しい情報をあらかじめ整理し、何が必要かを他の人に伝えることで協力者が見つかりやすくなると思います。私の場合、今回キーとなったのは JICAニカラグア事務所の方の人脈でした。調査協力のキーパーソンとなってくれる現地の方を見つけ、密に連絡を取ることをぜひお勧めします。その人を通 じて他の人へ、そしてまた他の人へと協力してくれる方がきっと見つかっていくと思います。

調査に協力してくれたフォルヘ・シンフォローソ・ブラボ保健センターの理学療法士と青年海外協力隊員。

ニカラグア唯一の国立リハビリテーション病院“アルド・チャバリア病院”にて。1日約200人の障害者がリハビリに励む。

調査に協力してくれたレヒォナル・サンティアゴ病院の理学療法士。ニカラグアでは女性理学療法士が圧倒的に多い。

協力隊員時代に一緒に働いていたラ・コンセプシオン保健センターの理学療法士。現在もアンケート調査を引き続き行ってくれている。

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