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トロントより その5

2011年7月14日 19:30

 

おはようございます。北島です。

トロント最終日です。

 

 昨日は、途上国での経済評価に関するセッションに参加しました。中国での高血圧対策、アフリカでの蚊帳の配布によるマラリア対策、ガーナでのはしかの予防接種などに関する報告がありました。

 

 中国の高血圧対策に関する報告では、食塩に含まれるナトリウムを60%に下げるという規制を設けた場合、将来的に高血圧がどのくらい減り、それが脳卒中などの病気の発生をどの程度抑えることが出来るのか、また、そのためにどのくらいの費用がかかり、病気の発生を抑えることにより医療費の削減がどのくらい見込めるのか、などを推計していました。結果は、高血圧症や脳卒中に関する医療費が大幅に削減されるため、とても効率的な対策であるとのことでした。加工食品に含まれる塩分の割合を減らすことで、同様の効果が見込まれるというオーストラリアを対象とした研究がありますが、中国では、加工食品よりも自分で作る料理から摂る塩分の方が多いため、このような対策を考えたようです。

 

 経済評価では、分析に必要な全てのデータが揃っているわけではありませんので、いくつかの前提を設けて分析をすすめることになります。中国の脳卒中対策についても、「新しい食塩をみんなが使用する」、「将来の脳卒中などへの罹りやすさは現在と変わらない」といったような前提のもとでの分析をしていました。そのため、前提の妥当性が重要となりますし、どのような前提を設けるかによってどの程度結果が変わるのか、ということも見る必要があります。例えば、「人口の80%が新しい食塩を利用し、20%は何らかの方法で従来の食塩を入手し利用する」とした場合、結果がどうなるのか?

 

 私も減塩対策や禁煙対策の経済評価をやりたいと思っているので、とても参考になりました。

 

 昨日で学術大会は終わりました。次回は2013年にシドニーで開催されます。次回も参加したいですね。修士論文や博士論文の一部を発表している人もいましたので、国際協力研究科の大学院生からも参加者が出ることを期待したいと思います。

 

ご質問・ご意見などはkenkyuc@ks.kyorin-u.ac.jpにお寄せください

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