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トロントより その3

2011年7月12日 16:26

  おはようございます。北島です。トロントに来て、4日目です。

 昨日(11日)は、学術大会の2日目で、朝から晩まで、様々な研究発表が行われました。学会ごと、同じ学会でも学術大会ごとに、やり方が異なる場合がありますが、今回の学術大会では、研究発表は、口演のみとポスター+短い口演に2種類がありました。

 私は、研究チームを代表して、後者の方で研究発表を行いました。写真は私達が作成したポスターです。研究のタイトルは、Does felt stigma influence choice of hospital? Treament seeking behavior among people living with HIV in Khon Kaen, Thailand です。

 私は、ここ10年間くらい、タイのコンケンというところで、HIVに関する研究を続けています。1996年から抗HIV多剤併用療法(以下、治療法)が導入され、HIV感染者がAIDSになるのを遅らせ、AIDSによる死亡を減らすことができるようになりました。当初は、薬の値段が高かったので、タイを含めた途上国のHIV感染者やAIDS患者の多くが利用できる状況ではありませんでした。そのため、この治療法を普及させるための財政的な負担とそれによってもたらされる医療費の削減を推計したり、コンケン県内におけるこの治療法の利用状況などを調べたりしました。

 現在のタイでは、臨床的必要と判断されれば、無料でこの治療法を利用することが出来ます。タイでも、AIDSは「死の病」ではなくなったと言っても良いかと思います。これ自体はとても良いことだと思いますが、その反面、HIV感染予防への意識の低下が心配されるようになりました(これはタイに限ったことではありません)。また、無料で治療を受けられるといっても、患者にとっては、通院などの費用がかかります。人によってはこの費用が継続して治療を受ける際の障害になりかねません。

 そこで、約3年前から、日本とタイの研究者と一緒に、この治療法を受けている患者の性行動の変化や、治療法を受けるために患者が負担している費用などを調べるために、コンケン県内の20カ所の病院に協力をしてもらい、約300人の患者のインタビューを行いました。今回の発表では、その調査結果の中から、患者の費用負担と、受診している病院を選択する要因について報告をしました。英文ですが、抄録を公開していますので、興味のある方は下記のリンク先をご覧ください。(http://ihea2011.abstractsubmit.org/presentations/1519/)

 何度やっても人前で発表するのは緊張しますね。無事に終えることができ、ホッとしています。

 

 

 

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