受験生サイト サークル紹介 学生支援ポータル 学納金サイト  [在学生・保護者専用]

教授
黒田 有子
(KURODA, Yuko)

経歴
1980年 東京大学大学院人文科学研究科修士課程卒業
1984年 同博士課程満期退学
聖心女子大学等非常勤講師を経て
1989年 杏林大学社会科学部専任講師
2002年 杏林大学外国語学部教授 現在に至る

先生の専門は何ですか?

アメリカ文学を専門に勉強してきました。特に、19世紀のアメリカを代表する作家ハーマン・メルヴィル(1819-1891)の作品研究をしています。メルヴィルの代表作『白鯨』(1851)という小説はアメリカ合衆国という国家のすがたを追求しようとするような側面をもっています。ペンシルベニア州で石油が出る以前の1840年代に最盛期を誇ったアメリカの捕鯨業は1853年のペリー来航とも無関係ではありません。アメリカの領土拡張、多民族移民国家、資本主義経済、エネルギー問題、グローバル化など21世紀の私たちに無縁ではない問題を多く投げかけています。

なぜ、その専門に興味を持ったのですか?

メルヴィルの作品は長くて難解で読むのが大変ですが、20世紀のアメリカ人作家や日本の作家でもメルヴィルにインスピレーションを受けて作品を書いている例も多く、それだけ惹かれるものがあります。「人間って捨てたものではないな」と思える瞬間がとても貴重なものに感じられます。
人間の「こころ」と「からだ」と「あたま」の複雑な関係を考えたくて、身体論でメルヴィルを読み解こうと試みています。いまは、『クラレル』という長編詩を題材にアメリカ人にとってのパレスチナの意味を考えています。まだまだ分からないことばかりです。

先生の専門分野の「こんなところが面白い」を教えてください。

現在は自分の専門分野に直接関係する科目は担当していません。以前、一般教育科目の『文学』を担当していた時には、19世紀までのアメリカ文学のテーマをいくつか取り上げ、ディズニー映画の『ポカホンタス』からアメリカの植民地時代の先住民族と白人の関係を考えたり、独立建国期の『フランクリン自伝』と『福翁自伝』を比較したり、ホーソーンの『緋文字』やメルヴィルの『白鯨』、マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』などの話をしました。学生に古典アメリカ文学を身近に感じてもらえると嬉しいです。

大学で専門的に学ぶことでどんな未来が?

大学で「すぐに役に立つこと」を学ぶ必要性が叫ばれる昨今ですが、それだけで大学に進学するのはもったいないと思います。企業に就職しても、皆さんはさらに学び続けることになるでしょう。学生時代に1つのことをじっくり学ぶことは、人生を生きる土台になります。図書館を活用して資料の探し方を学んでおくことはとても大切です。10年後、20年後にその時々の状況に対応したり、新たな学びを必要とした時に、大学に戻ってきたり、別の場所で学び始めたりすることは当たり前になると考えてください。

一覧へ戻る